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台湾文学読書会

3/16(木)、「台湾文学読書会」を開催しました。台湾研修の事前学習の一環です。テキストには、呉明益氏の短編「歩道橋の魔術師」を用いました。呉明益氏は、現代台湾を代表する作家です。文学作品の読解を通じ、台湾の歴史・社会・文化などの理解を深めることがねらいでした。会場の図書館は、司書三野先生の創意あふれるディスプレイに彩られていました。

     

 

ゲストとして、大妻女子大学教授の赤松美和子先生、明治書院の木南伸生氏をお招きしました。赤松先生は台湾文学研究の第一人者であり、SNET台湾(日本台湾教育支援研究者ネットワーク)の代表理事を務めておられます。木南氏は、明治書院『文学国語』の担当編集者でいらっしゃいます。同書は、国語の教科書初の台湾文学作品として「歩道橋の魔術師」を採録したことで、大きな話題となりました。

 

第1部では、参加者を3~4名の4グループに分け、グループ・ワークを行いました。国語科の及川教頭がファシリテーターを務めました。

 

生徒には、次のような事前課題を与えました。

 

◆事前課題

短編「歩道橋の魔術師」について、以下の①~③に回答してください。

① 内容を紙1枚に収まるように言葉と図とで整理してください。

② 印象に残った箇所を1つあげ、その印象の内容を説明してください。

③ 疑問を抱いた箇所を1つあげ、その疑問の内容を説明してください。

※②と③とを合わせ 600 字以内で記述してください。

 

第1部は、泉大地君(高1)と白石陽大君(高2)による内容説明から開始しました。2人は、課題①についての生徒どうしの投票で上位となりました。

泉君の回答

 

白石君の発表

 

次に、グループ内で課題②の回答を紹介し合ったあと、課題③を行いました。グループごとに、

 

(1)目/見る (2)黒い小人 (3)魔術師

 

のうちから1つを選び、ディスカッションを行います。議論の内容を白紙にまとめ、最後にプレゼンテーションを行いました。

 

議論とプレゼンテーションでは、新鮮な着眼点と深みを帯びた考察とが展開され、講評してくださったゲストのお二人からも、盛んにお褒めの言葉をいただきました。

 

第2部は、赤松先生の台湾文学についてのご講演でした。台湾の歴史と文学とを平行して辿ることで、生徒は、文学と社会とがいかに深く結びついたものであるかを認識できたようです。呉明益氏の文学史的な位置づけも、理解できた様子がうかがえました。

 

赤松先生は、生徒一人一人の事前課題についても丁寧にコメントしてくださいました。生徒の回答と作品テキストとを行き来する自在な分析には、文学読解の醍醐味とでもいうべきものを感じました。

 

最後の振り返りは、生徒一人一人が読書会での学びを確かめ、定着させる時間となりました。赤松先生は、「今日経験したことは、台湾研修にとどまらず、これから生きていくうえでも大きな力になるに違いない」と激励してくださいました。木南氏は、「『歩道橋の魔術師』は、高1・高2の定番である『羅生門』、『山月記』、『こころ』などよりも難度が高いのではないかと思われるが、よく読み込んでいたと思う」と賛辞を送ってくださいました。お二人の大家にお越しいただき、示唆に富むお言葉をちょうだいしたことは、生徒のみならず教員にとっても、大きな励みとなることでした。

 

赤松先生、木南様、ご来校くださりありがとうございました。