トピック
住友商事キャリア教育支援プログラム「Mirai School 2022」開催
「グローバル・キャリア講演会」~現役商社マンに働く意味を聞いてみた件~
昨秋に実施した住友商事キャリア教育支援プログラム Mirai School を、好評につき本年も11月12日(土)小講堂にて開催しました。
住友商事キャリア教育講演会.pdf
『総合商社マンに働く意味を聞いてみた件』と題して、
- 商社という仕事に興味がある人!
- 海外で働きたいと考えている人!
将来やりたいことが見つからない人! - 海外
留学を検討している人!
などと希望者を募ったところ、中学1年生から高校3年生までの希望者121名が参加しました。
住友商事株式会社の社員3名の方を講師としてお迎えし、自らの体験談や仕事観を語っていただき、与えてもらった将来やキャリアについてのヒントから未来の世界、未来の自分を考えました。
「今日、聞いてみたいことは何ですか?」
不意を突かれた問いかけから始まりました。
突然にマイクを向けられたにも関わらず、生徒たちは自分の思いを語りました。
「大学は将来の職業に本当に繋がるのかを聞いてみたいです。」
「進路選択のきっかけになればという思いで参加しました。」
「入社した当初はどんな仕事から始められたのかを聞いてみたいです。」
答えている生徒たちのことばに、ほかの生徒たちもしっかりと耳を傾けていました。
1時間目:会社・仕事・自分紹介
住友商事ってどんな会社?何をしている会社かという説明以上に、何を大切にしている会社なのかが生徒たちへ伝えられました。物流、ファイナンス、流通業界でのトレードにおいては、リスクを負いながら仲介をしていることや、事業投資においてはファンドと異なり、売るために会社を購入するのではなく、事業を拡大するために投資をしていることが紹介されました。Enriching lives and the worldという住友商事のコーポレートメッセージを象徴するような、世界を幅広く見つめる高い視座からの内容に、生徒たちはメモを取りながら興味を持って聞き入っていました。
自分紹介では、高校生まで遡って自分のキャリアを振り返り、学校生活と仕事のつながり、進路を決めたきっかけや、得意であった教科や必要であると考える勉強、なぜ大切と思うのかまで掘り下げて具体的に語っていただきました。また、仕事紹介では、アップダウンした「人生のテンション」グラフから、自身の仕事観の変化やそれぞれの転機で感じた思い、考えたことが語られました。
『住友商事』って知っていましたか?
講師プロフィール
自然から吸収したエネルギーを電気自動車へ、車で移動しながら地球をきれいにすることが可能になるように。
人と違うことをやってみよう、大学ではラクロス部に所属し活躍した。うまくいかないときは、行動をゲーム化して、ひとつひとつをクリアしていくことを楽しむ。
数学は万国共通でとても大切。数字はどこでもつながる言葉。英語など語学において流暢さは不要。ただのツール。
Q:なぜ数学は大切なのですか?
A:物事を語るときに数字で表現すると、イメージを共通化させることができる。
Q:ラクロスとはどういう競技ですか?
A:陸上のアイスホッケー。北アメリカの陣地争いが発祥。クロス(ネット)をつけた棒で石を投げて闘った。カナダにやってきたフランス系の移民がスポーツ化させた。フランス語の冠詞「ラ」が「クロス」について「ラクロス」になった。
2008年のリーマンショック、global financial crisisのときは、仕事のテンションが落ちた。もがき苦しむことが大切。一生懸命やったら「楽しい」に会える。
数字はざっくり掴む能力がある。数学の論理的思考はとても大切。課題を発見した後に論理的解析をするには数学的思考が必要。文化・歴史・宗教を勉強して欲しい。異なるbackgroundを持った人々と対話する際に、それらを知った上での質問と何も知らないで質問をするのとでは結果がまるで違う。
Q:ロンドンでの生活はどうでしたか?
A:楽しかった。英語は得意ではないが英語が通じることが良かった。地理的に欧州の旅行が容易。グローバルの中心地。仕事もプライベートも充実。
Q:仕事というものは無機質なもののように感じます。仕事はお金を儲けることだけですか?何が楽しいのですか?
A:お金稼ぎは人とのつながり。相手へのサービスを提供し、相手が抱えるリスクを背負うことで相手から感謝の気持ちが示される。お金を稼ぐことは無機質ではなく楽しい。
自分の気持ちを相手に伝える、相手の気持ちを理解する国語の表現力を磨くことが大切。数学・国語・歴史は、相手につたわるツールとなる。
Q:リーマンショックのとき、仕事を続けるモチベーションをどうやって保ちましたか?
A:仲間をどうやったら幸せにできるのかを考えた。リストラを実施することは辛かったが、のちに、その会社が再建されたことを聞いてほっとした。
2時間目:キャリア・デザインのヒント
SDGs(Sustainable Development Goals)持続可能な社会を目指し、企業として、省エネルギーと雇用を課題に抱え、ビジネスの力でカーボンニュートラルな社会を目指す。
仕事を通じて感じている社会の変化
- 自分自身は?会社は?社会に対していいことをしているのだろうか?
- 色んな人たちを巻き込んで相互理解を目指すことが必要
- 自分たちが日々利用しているネットワークはどうなっていくのか
- 貧富の格差の広がり
- 積極的に価値観の異なる人たちとかかわる機会を持つことが必要
未来に向けた取り組み
- 考えながら動く。選択するときの視点は「わくわくするかどうか」
- 自分がどうしたいかとの思いに向き合う
- 落ち込んだときは寝る!
- 考える時間をどうやって作るか
- 周りの人を巻き込んで考えたことを実現へ
- 信頼を勝ち取る
- 「敬愛親和」互いに尊敬の念をもって接し、チームの力を引き出す
- 相手に対して興味を持つことが、分かり合うための大切なこと
これからのキャリア・デザインで大切なこと
- 「ユニークになること」これには、勇気が必要!
- 恐れずに自分の思いを発信し、相手をリスペクトして理解する
- やりたい!を見つけることは難しい
- やりたい!があれば実現へ向かっていける
- 異なる人との交流してみる、受け入れてみることで「やりたい!」に出会えるかもしれない
- 全部は無理でも「好奇心」を持てる部分を探し出す
- 自分だったら?と考えながら人の話を聞いてみる
- なんとなく生きている自分から脱しよう
- 相手の立ち位置で考えてみると相手を理解するきっかけになるのでは
ひとに流されないで自分の意見を持つこと、独りよがりではなく、ひとを尊重しつつ、自分の意見を持つことが大切。自分のためではなく社会のために、ビジネスを通じて環境を考える必要性。一期一会を大切に。繋がりは広がっていく。
激変している世界で、未来のため、今できることに真剣に向き合っている講師の方々の体験を踏まえた熱いメッセージは、生徒たちに「これからどうあるべきか」と「今できること」を考える示唆となりました。
セミナー終了後:Q&A
セミナー終了後には、まだまだ聞いてみたいことが沢山ある生徒たちが十数名残りました。
Q:コミュニケーションの練習をするための意識とは何ですか?
A:
「話しかけられるように近くへ寄ってみる。意識的に視野に入る。『授業は勉強するため、なぜ前に座らないのか?勉強したいなら前から座れ』と留学したときに同級生から問われ、なるほどと納得した。」
「双方向にどうするか?話をふってみる。自分がアウトプットするとインプットが返ってくる。」
「質問をすることが大切。相手の background を知っていると、より良い質問ができる。知識が必要。誰かに対して問いかけると、action が reaction を生み出す。」
「ひとりのときに予め考えておく。話をしたらどう応えるか想像して練習してみる。」
Q:自分の仕事に打撃を受けたとき、予期せぬ出来事が起こったときにしたらいいことと駄目なことを教えてください。
A:
「自分以外の相手の気持ちや反応を想像する。将来を前もって想像しておく。想像しながら日々を過ごすことが大切。いろんな隙間時間に考えておく。」
「『これってどうにかなる!』と言葉にすることが大切。なんとかなる。どうにかなる。悪い状況はいつか良くなる。楽観的にいる。」
「『不安祭じゃー!』と不安を楽しむ。自分の中で捉え方を変えてみる。『ピンチはチャンス!』と叫んでみる。」
Q:グローバル化していく世界において、backgroundが違う外国人にどう対処するのですか?
A:
「外国人って言わなくてもいいのではないだろうか。どんな人に対しても相手の立場に立って話を聞き、とことん話し合うことが大切。まずは『知る』こと。話し合うこと。」
「グローバルは世界のことだけではなく、周りを見回して、身近なひとと分かり合い、折り合いをつける力が必要。worldとsurround 」
「違うは『いいこと』。いろんな意見があった方がいい。意見がすり合わなかったとしたら分かれるという合意をすることもひとつの選択肢となる。」
Q:女性が活躍できない原因となりがちなハラスメントにどう対処されるのですか?
A:
「話し合うこと。」
「ハラスメントは社会のルールとして教育をしていくことが大切。譲れないルールが必要。」
「男性か女性か、障害を持っているか否か?等、問う必要がない社会になっていく。」
「環境、制度を整える。働き方のルールを整備して働きやすく。例えば、女性管理職が何%以上というように数値目標を立てる。」
Q:地球温暖化が深刻となっている今、金属、メディア、EVなど、ご自身で一番解決すべきと考えることをひとつ教えてください。
A:
「地球を残すという課題。」
「エネルギー問題、電気を蓄えることができたら世界が変わる。」
「平和。戦争に限らず内戦も含め、命が大切。生きている人たちが人に命を奪われないためにどうしたらいいかということ。」
Q:今度部長になる予定です。リーダーシップを取るために、駄目なことと、どうしたら成功するか?信頼を得られるのかを教えてください。
A:
「リーダーシップとリーダーは違う。リーダーシップは誰でも発揮できる。やりたいことを実現へ導くリーダーは、それぞれのグループに合った方法を取る。周りのひとの意見をどうやって吸い上げる?やってみて調整していく修正能力をつけることが大切。」
「リーダーは人の上に立たない、前に立つ。リードする。仕切るのではない先頭に立つ。先頭で走り、批判を受け止める。それが信頼を得ることに繋がる。組織を前に引っ張る力とスピードが大切。」
「リーダーこそ人の話を聞く。異なる意見の理由を考えながら人の話を聞く。間違った場合には認めて感謝する。」
Q:SF派ですか?新書派ですか?どんな本を読まれるのですか?
A:
『エネルギーを巡る旅』 石油を作ってカーボンを作っている人がこの先の未来のエネルギーを語っている。
『日中百年戦争』
『住友を破壊した男』
Q:情報源は何ですか?私は年齢が高い人が使っているのでFacebookがいいと思いますがどうでしょうか?
A:
「思考する時間が減るので、情報を減らそうと思っている。自分の好きな媒体を利用すればいい。結局は実情報(人)をたどる。」
「無目的に新聞は読まない。SNSは利用しない。」
「溢れすぎた情報を取捨選択することを大事にしている。全部の情報を網羅することは不可能。」
Q:やりたいゲームVS手に入れたい国家試験、好きなこととやりたいことのどっちを選んだらいいですか?
A:
「受かりたいと思うならバランスを取ることが重要。will–can–must 」
Willは「今やりたいこと」・Canは「今できること」・Mustは「今やらなければならないこと」
「やりたいことと好きなことを如何に一致させるか工夫する。やりたいことをゲーム感覚で考えて、やりたいことを進めていく。国家試験に挑戦するゲームを自分に課してみる。自分が自分に課したmust。」
Q:環境問題とは、CO2を減らすことだけですか?
A:
「CO2を減らすことが最重要、温室効果ガスにCO2以外の割合は少ない。」
「命を考える。生きていくことができるように考えること。」
「人間として地球に与えた影響を昔の地球にどうやって戻すか。」
「身近な問題の中で、問題を解決していく仕組みを作りたい。環境問題へ取り組む意識の改革。」
「環境問題を自分事にするためには、勉強が大切。異なる考え方を理解する力が必要。勉強を自分事にして身になるようにしっかり取り組む。」
Q:大学生の間にしておいた方がよい勉強や資格はありますか?
A:
「大学で勉強しなかったことを後悔。社会に出てから勉強に励んでいる。」
「『やっておいた方がいい』というアドバイスはできない。何をやっても役に立つ。そのためには勉強。勉強が人生を豊かにする。自分の選択肢を増やせる。知ることが考えることを広げる。」
「自分が興味を持つことをとことんやる。自分の時間を使うのは自分次第。遊びもとことん。」
「日本と異なり、海外では出身校より専攻が重視され「What’s your major?」と問われる。 何を突き詰めてきたのかという問いに応えられる勉強をすることが大切。知識は役に立つ。物事を突き詰めるためのハードルは勉強すること、考えること、もがくこと。」
「やりたいことを探すことが難しい。考えないと見つからない。」
「図書館を散歩してみると、潜在的な好奇心を湧き出す行為になるかもしれない。目に入った視覚情報は大切。」
「『哲学』いろんな想定をして考えることが好き。考えることを学ぶ学問が哲学。社会に出たら、なかなか学ぶ機会がない学問。」
「資格は選択肢を広げることに繋がる。」
「リベラルアーツが重要。ベースを知っておいた方がいい。時代とともにベースが変化していく。」
「英語ができた方がうまくいく。使用人口が多い言語を話せたら世界は広がる。」
「海外の論文をリーチできるのは英語。情報を早く手に入れることができる。」
生徒の質問から、どんどん話は広がり、時間がいくらあっても足りないほどでした。時間いっぱいまでご対応いただき、生徒からの質問にひとつひとつ丁寧に熱意を持って答えていただきました。心より感謝申し上げます。