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中3・高1:日本学生科学賞 東京都大会 努力賞3名受賞

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箕田くん(左)・千島くん(右)

 

第64回日本学生科学賞東京都大会において本校の中学生が1名、高校生が2名、努力賞を受賞いたしました。

日本学生科学賞は、戦後日本の復興期に科学教育の振興を願い、未来の優秀な科学者を生み出すため「国際地球観測年」の1957(昭和32)年に創設されました。理科教育に基づく中学・高校生の公募コンクールとしては、国内で最も伝統と権威のあるものです。(日本学生科学賞HPより)

夏の探究活動の成果のうち、学内審査を通過したものを応募したところ、今年は中学の部で1名、高校の部で2名の受賞者がでました。受賞したのは、以下の3名です。

高1の千島啓太くんの「エスカレーターの混雑原因と緩和~コロナ禍におけるエスカレーター混雑原因と混雑緩和手法~」
20201223_2※先日紹介した「蟻の混雑緩和手法の解析と応用」の継続研究です。

高1の箕田誠一郎くんの「関東に飛来するミユビシギの生態~都市型生態系でミユビシギが生き抜くためには~」
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中3の箱田磨生くんの「液性が植物の生育に及ぼす影響~pHによる成長の違い~」
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以上です。

残念ながら今年度はよみうり大手町ホールでの表彰式は開催されませんでしたが、終業式の日に校長室にて学校長から賞状が授与されました。

それぞれ、自分の関心領域を鋭く探究した見事な論文ばかりでした。以下にその概要を記します。

エスカレーターの混雑原因と緩和~コロナ禍におけるエスカレーター混雑原因と混雑緩和手法~
千島啓太
 研究目的  分散登校している中で首都圏の駅の利用者数は大きく減少しているにもかかわらず、エスカレーターの混雑が減少率の割には改善されていないように感じた。昨年行ったエスカレーター混雑原因以外にも、コロナ禍ならではの原因があるのではないかと考え研究を行った。
 研究方法  乗客の流れを計測するため東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線渋谷駅、東急田園都市線・同大井町線二子玉川駅で混雑時・非混雑時の一定時間の乗客通過人数と乗客同士の間隔計測に加え、周辺の乗客の流れを測定した。また3.4.5号車に乗車し人数を計測した。
 研究結果  渋谷駅の場合、駅の構造上乗客の流れが乱れやすく乗降者数が明らかに多すぎるため処理しきれてないところがあった。また最寄りの4号車に一番乗客が集中していた。二子玉川駅は出口が一ヶ所しかなく流れが一様で、ほとんど混雑が見られなかった。
 まとめ
・結論
 渋谷駅は利用者数も著しく多く、最寄りの4号車に乗客が集中してしまい一度にエスカレーターを利用する乗客が多くなり、乗客の流れが一様にならずに乱れており処理しきれなくなってしまっている。また、流れを一様化する為に柱なども有効であると分かった。
 展望  今回のコロナによって、コロナ収束後も三密を避ける面から見ても混雑緩和は大きな課題となると考えられる。なのでインフルエンザ対策としても、駅・各学校の受験会場・身近な場所としてスーパーなど、多くの場所で応用できるのではと考える。

 

関東に飛来するミユビシギの生態~都市型生態系でミユビシギが生き抜くためには~
箕田誠一郎
 研究目的  ミユビシギは日本には毎年8月頃に全国の砂浜や干潟などに飛来する旅鳥である。干潟に多く生息するミユビシギは環境の影響を受けやすく、マイクロプラスチックの影響などもまだ未評価である。そこで、本研究では、関東圏のミユビシギの食性と生態を明らかにし、今後の保全に役立てる知見を得ることを目的とした。
 研究方法  関東圏において地理的に分断され、地形に変化があり、かつミユビシギが一定数いると考えた、九十九里浜・東京湾の三番瀬海浜公園・相模湾の3カ所でフンの採取を行った。採取したフンは双眼実体顕微鏡ならびに光学顕微鏡で観察し、その内容物を明らかにした。
 研究結果  12個のサンプルを得ることができ、顕微鏡観察の結果、三番瀬で5つ、九十九里浜で1つの生物の不消化排出物を観察できた。多くは甲殻類のものと思われ、主な採餌対象であるアサリなどは見つけられなかった。また、フンの内部には多くの砂があり、マイクロプラスチックと思われる物質も見られた。
 まとめ
・結論
 今回の調査で2つのことが明らかになった。1つ目は、消化能力がきわめて高い点である。2つ目は、多くの砂を貯めこむ生態であるという点である。この2点は現代、問題となっているマイクロプラスチックの影響を受けやすい種であるとも考えられ継続して生態を調べていく必要がある。
 展望  ミユビシギはマイクロプラスチックを多く体内に含んでいる可能性が示唆された。本研究で行ったフンの採取方法は簡便な手法であるため、双眼鏡があれば誰でも調査が行えるものである。今後はフンの中などに含まれるマイクロプラスチックの量を定量化する手法などを考案してみたい。

 

液性が植物の生育に及ぼす影響~pHによる成長の違い~
箱田磨生
 研究目的  中学1年のとき、浄水場のレポートに加え、砂利、礫などを使ってろ過器を作成し河川の水を浄化する実験を行った。水をろ過するたびにBTB溶液を使いpHを測ったが変化しなかったのでpHの違いはそのような影響があるのか気になったのでテーマとして選んだ。
 研究方法  キュウリ、トマト、コマツナ、インゲンの発芽試験を異なる4種類のpHの水を用いて行ったが結果の判断が難しかったため、キュウリの水耕栽培を5日間行った。プラスチックカップに水を入れ鉢底網を浮かべ、その上に種子を移植し、観察を行った。
 研究結果  キュウリは水が多いと徒長しやすいが、酸性水では成長が抑制され、アルカリ性の水では、徒長し自立できなくなった。中性の水道水が一番成長の状況が良かった。栽培後の水のpHを測定すると、すべての水がキュウリの最適pH領域を示した。
 まとめ
・結論
 キュウリは異なるpHの水であっても成長することが分かった。光合成により、微生物の活動が活発化したことで、成長したキュウリは水質環境が異なっていても光合成やそれに伴う有機物の増加など自らの「最適化pH領域(6.0-6.5)」に合わせて成長していると考えた。
 展望  異なるpHの水で生育の促進と抑制をコントロールして、野菜の通年収穫を安定して行うことで、自然災害があったとしても食料の供給を持続することができる。砂漠でも栽培最低限の水があれば食料の確保に応用できる。