正しく恐れて、コロナに動じない。
数日前、数人の生徒たちが正門前で落ち葉を掃いていました。この時期の通学路は色を変えた落葉で一杯になります。2015年の創立130周年記念に植えた枝のように細い桜は、落葉することで生まれ変わりながら命を繋いで成長してきました。この営みは生きる意義を教えてくれます。そして、5年たった幹の太い桜に、コロナに動じない成長を感じます。
例年、冷え込みが始まる11月にはマラソン大会が行われます。今年はいつもと違う11月を過ごしました。文化祭や視聴覚行事の代替行事でしたが、いつも以上のノリで盛り上がり、生徒たちは笑顔が戻ってきました。
本校の校訓「自治自律」を発揮する場として成城祭があります。文化祭と体育祭に分かれ、それぞれ生徒による実行委員会が企画運営します。今年はコロナ禍の中、先月号で紹介しました通り、文化祭の代替として「オンライン文化祭」が行われました。ご視聴頂けたでしょうか。テーマは「ツナグ」ここから繋いでいこうという思いを表しています。
生徒たちが自ら学び身に付けている多様な知識、高い技能に驚きました(知)。無限の瞳の上映など、様々な人々の思いを繋ぐ優しさ、思いやりが伝わってきました(仁)。そして何より、初めてのことに挑戦したチャレンジ精神(勇)。知と仁と勇を備えた成城らしいオンライン文化祭。よくぞここまで、と讃えたい気持ちです。
在校生、在校生保護者、卒業生、外部の方、特に成城を志願している受験生やその保護者の方など、多くの視聴者から頂いたご感想を校内で共有しました。「感動」が伝わってきました。
ここで、ある卒業生からいただいたメールを以下に紹介します。「オンライン成城祭を拝見して、その圧倒的なエネルギーに感動しました。とくにオープニングムービーは、これがつくりたいから、これがかっこいいからつくりたいという意思と勢いを感じました。体裁よく無難に仕事をしている自分ははっとさせられました。成城生の勢いを感じ、自分はこのままでいいのかと奮い立たされているところです。ご子息が成城に通っている同僚から『後輩がこんなに頑張ってるけど、先輩はどうする?』と紹介されて拝見しました。…校長先生に感動をお伝えしたくてメールをしました。…」
私もすごく感動しました。改めて、生徒会実行委員会の生徒、動画編集の指導をしてくださったS先生、著作権、肖像権をはじめ、生徒全体の指導に関わってくださったO先生をはじめ、チーム成城の皆さんに感謝の意を表します。これが新しい成城の歴史の一頁となり発展していくことを期待しています。
2. 皆で大笑いした視聴覚行事
今年は予定していた校外施設での視聴覚行事をキャンセルし、体育館で行いました。
体育館での密を避けるために、2学年ずつ、午前と昼と午後の3回に分けての公演となりました。前日に体育館にシートを敷き、間隔をあけて椅子を並べたのは先生方。当日は体育館の扉や窓を開けて風を通したので、ジャージ等を羽織っても良いことにしました。全員マスクをして、前を向いて、漫才、コント、落語の3つの演目を楽しみました。各回70分の公演でした。
漫才を演じた一人は、当時生徒会長だった成城卒業生です。高校時代を思い出しながら「成城あるある」「男子校あるある」が飛び交いました。当時の教師を挙げながら生徒たちの心をつかんだ漫才に、みんなで大笑いしました。コントも落語も面白くてこちらもみんなで大笑いして楽しみました。
コロナ禍で忘れかけていた「みんなで一緒に」「直接会って」「肌で感じる」ことを体験し、格別に味わい深いものとなりました。正しく恐れてコロナに動じない成城生でした。一緒に笑ったとき、何故か久々の「一体感」を感じたのは私だけではなかったようで、翌朝の登校時には、「今までの視聴覚行事で一番楽しかった!! 」と友達同士で話す声が聞こえてきました。
一方、新型コロナに関わる数字が「過去最多」を更新する中で、企画会社の方から「東京ではコロナによる興行の自粛が始まり、明後日からできなくなります。今日でよかったです。」と言われました。楽しかっただけに、現実の厳しさが私たちを淋しい気持ちにさせました。この後も一人ひとりがしっかりとしたコロナ対策をして、楽しい学校生活を維持していくしかないと思いました。
3. 師親会委員会
師親会とはPTAのことです。本校では毎年文化祭やマラソン大会などに様々な協力をしてくださっています。
今年は通常の文化祭が中止となり第2回師親会委員会は中止でしたが、11月に第3回を実施しました。それはオンライン文化祭で取り組んで下さったグッズ販売の仕分け作業をメインとする会となりました。
この日、委員の皆様からは、オンライン文化祭や視聴覚行事などに対する様々なお声を頂きました。オンライン文化祭は保護者の方々も楽しまれたようでした。プログラムの一つひとつを思い出しながらコメントをされ、委員同士で感動を共有されていました。また、視聴覚行事に感激したご子息の様子を「ほんとに楽しかったみたいです」と報告してくださいました。
師親会ではありませんが、中学3年生が書いた「スポーツ大会」の作文にも「『青春してるぅ~』と叫びたい気分だった。」などという表現がありした。本当に成城らしい、充実した学校生活が遅ればせながら戻ってきたのですね。
4.学校説明会
中学入試の広報として例年1学期に実施している「学校見学会」を今年はすべて取りやめました。その代り、学校紹介動画を作成してホームページに公開しました。2学期になり「学校説明会」の在り方を校内で検討し、少人数かつ短時間で実施することになりました。1回の定員を小講堂の定員の3分の一にして実施するということで、回数を増やしました。多くの方に参加していただきました。休み時間の様子をご覧いただくなどの工夫により、小講堂以外の校舎内に入ることはできなかったにもかかわらず、生徒や教員の雰囲気を感じ取っていただけたようでした。
屋外での立ち話の「個別相談」では、公立と私立、共学校と男子校の違いをはじめ、携帯電話やいじめへの対応など多くのご質問をお受けしました。皆さん大変熱心で、ご家庭が学校の教育方針を理解してご子息を入学させようとする姿勢、本校への期待の高さなどが伝わってきました。
いよいよ明日は年内最後の成城中学校学校説明会です。中学受験に限らず、高校受験、大学受験を控えている皆さんは、可能な限りの感染予防に努めて、コロナに動じず、大切なこの時期を乗り切ってほしいと思います。頑張ってください。
令和2年12月1日 校長 栗原卯田子