お知らせ
中3・高1:探究活動(カスミザクラと春の気温)
生徒説明に利用した画像
5月10日(日)に本校ではWEB配信での入学式ならびに始業式が行われ、5月11日(月)よりWEB上で正課業が行われております。5月の始業までの間、本校の教員たちはそれぞれできる形で生徒たちに課題配信ならびにそのフォローを行ってまいりました。先日、ご報告した内容に続き、始業前の取り組みの1つをご報告させていただきます。
中3・高1では探究活動の指導の一環として、東京大学の「サイバーフォレスト」研究チーム、中村和彦先生に協力してもらって課題授業を行いました。
背景を簡単にご説明いたしますと、東京大学にはサイバーフォレスト研究プロジェクトというのがあります。手つかずの自然の「今」を、どうやったら「都市」に住む私たちが感じられるようになるか?という研究プロジェクトです。秩父の山奥にロボットカメラが設置されていて、そこで毎日、景観映像をライブ発信してくれています。
今回はその研究成果の1つ、カスミザクラと気温の変化を学習することのできるWEBアプリを利用して行いました。
使用したのは以下のコンテンツです。みなさんも利用できますので是非やってみてください。
https://pheno.cf4ee.jp/yatake_sakura/
(タブレット・PC推奨。スマホでも可。)
東京大学の秩父演習林のカスミザクラの写真を19年分見ることができます。
<利用方法概要>
①どの年のカスミザクラでも良いので、その年の「満開になった日」と思った画像をクリックする。
②表示する年を変えて、同じく「満開」と思った画像をクリックする。
③様々な年の満開のサクラの画像がブラウザの下側に蓄積されていく。
④貯まった画像の右側のグラフボタンをクリックすると年ごとの満開日のグラフを自動作成でき、気温データとも比較できる。
生徒たちには、
・サクラの満開日の日付けグラフと平均気温(2~4月)のグラフの比較から何がわかるか?
という考察をしてもらうと共に、サクラの開花の基準となる「トリガー」の話を伝え、
・温暖化が進むとサクラの開花がどうなるか?
というところまで考えてもらいました。
厳しい自粛生活の5月上旬にこの課題をおこない、生徒たちは色々なことを感じたようです。
以下に感想の一部を掲載いたします。
- 今の桜がどのように環境に適用していくかが見ていきたいとと思った、モミジなどを観察し、紅葉と平均気温の関係を調べてみたいと思った。
- コンテンツの映像で、2001年などは雪が見られたが、最近のものには雪が見られなかった事で温暖化の進行を感じられた。
- 二つのデータを見ただけなのにこんな分かりやすい結果が出たので自分でも少し頑張れば生物の特性が見つけられるのではないかと思った
- 桜以外でイチョウを見ても何か発見があるかもしれない。
- 地球温暖化が進むと季節までも変えてしまうと、私たちの生活の感覚も狂いそうだと思いました。今は自粛期間が続いていて曜日感覚が狂いそうなので、それと同じなのかなと思いました。
- 今年は見に行くことが出来なかったが来年は満開の桜が見られるようになればいいなと思った。
- 僕が小学校一年生の入学式の時の写真には、満開の桜が写っていました。しかし、近年では、卒業式の時に満開になっていて、入学式の時には少し散ってしまっているようになりました。なので、少しずつ温暖化の影響を受けていると感じました。
- 桜の咲き加減を見て、満開の日にちから推測すると、2月~4月の平均気温を推測することができた。
比較して考えることの良さがわかりました - これからは自分で2月から4月の平均気温を調べて桜の満開時期を予測してみようとおもった。
- 簡単にグラフが作れて比較しやすかった。また、今年は暖冬だったが満開は早かったような気がした
地球温暖化は人間だけでなく、植物にまで影響を与えることを確認することができた。 - 狂い咲きとか、トリガーというものを初めて知った。植物にも動物のような生きる仕組みがあり、生き物は不思議だと思った。
- 「狂い咲き」や「ソメイヨシノ」の特性など、桜には他の植物にはない不思議な習性を知れてよかった。また、人間の起こす地球温暖化が桜にまで影響すると知って、驚いた。
- 休眠打破の件で思い出したのですが、去年の台風のあと、北海道で桜が開花したというニュースを見ました。ニュースによると潮風によって咲いたと書いてあったのですが、本当に関係があるのか気になります。
- 暖冬の年が増え、さらに暖冬の中でも近年は気温が上昇し続けている為トリガーが働かなくなるとサクラが開花しなくなる可能性があるのに驚いた。暖冬は先日、先生が紹介してくださったイノシシの個体数の増加などにも影響しているようです。なので、今の日本には暖冬対策が欠かせないと考えた。このコンテンツは19年分という非常に多いデータがりありそれに基づいた結果の為、結果の正確さが高く感じられた。
- 調べてみると東京だと「400度の法則」というのがあって、2月1日からの日平均気温を足して400度を超えた日に桜が咲くという法則がある事がわかった
- 約20年に渡り、同じ桜の観察を続けることがとても凄いとおもった。
- 日本といえば桜みたいな概念を海外の人たちないしの日本人も感じていると思うので、桜が見れなくなると日本のチャーミングポイントは少なくなり、観光客も減ってしまったりするのではないかと不安になった
- 野菜のようにビニールハウスで温度を調節できれば研究できそうだが、木と野菜ではかかる年月に差があり、形もそれぞれ変わるので、研究は難しそうだと感じた。
- このようにして自分で実際にグラフを作成し、考えるのは暗記にも学習を深めるためにも使えると思う。なので次の自由研究やなかなか覚えられないグラフがあった時には、この様なツールを活用してみたいと思った。
- 四季のある国に生まれてよかったと思った
- サイバーフォレスト研究プロジェクトURLを見てみたらこのマイクを使って音をとっていますという画像があったが、何の音を記録しているのかが気になった。
- なぜ寒いと開花の準備をするのか気になった
- 地球温暖化やアメリカシロヒトリといった外来種の危険等について、今までは聞くだけであまり身近な問題としては感じにくかったが、実際にそれらの影響によって身近な存在である桜に影響が出てしうことがあるということを知り、これらの問題を身近に感じやすくなり少しでも地球温暖化対策など自分にできることだけでもしようと考えました。このコンテンツを使い、毎日記録を取る事によりそれが増えれば増えるほどそこから多くの事を考察することができると感じました。
- 何度か満開日を選びなおしてみたが、その度日にちが前後してしまった。見た目で満開日を判断するのでなく、数値化できる指標を考えるべきだと感じた。
- 2020年の桜の開花日は、2019年に比べて遅い。
- 使いやすかった。このような技術で鳥などの観察なども出来るのではないかと思った。
- 春の風物詩である桜がみれなくなるのは悲しいのでSDGs に積極的にとりくみ桜の優美さを後世に残してゆきたいと思います。
- 人間と同じように桜も「勘違い」をするんだな、と思いました。このコンテンツは自分の目で見て選んだものがなぜその時期に咲いたのかをとてもわかりやすく、なおかつ「自分の手」で作業をするのでとてもおもしろくしくみを理解することができるため、画期的だな、と思いました。
- サクラに特化したサイトで、青々とした桜の始まりから最後青々とした桜に戻っていく様子を見られるということはとても興味深かった。
- サクラの狂い咲きには温度だけでなく虫の食害で休眠ホルモンがなくなるという意外なことも関係していると知って秋に咲いているサクラを見つけたら葉がたべられていないか確認してみようと思った。
- 桜は暖かければ咲くと思っていたけど、冬の寒さも咲くにあたって関係していたのが驚きました。毎年桜を見るためにも温暖化対策を考えて環境を汚さないように気をつけようと思いました。
- 日本で桜が春に咲かなくなった時、それが根拠として世界が重大な危機に直面していると気づくことがあるかもしれないので、今後はもっと桜など、もしかしたら身の周りで知らず知らずのうちに何か変化があるかもしれないから、もっと自分の周りに注意を払っていきたいと思いました。
- 日本には他にも気温などの変化を花の開花などに利用している植物があると思うのでそういった植物をもっと知りたい
- 外来種を国内に持ち込まないような対策をして、検疫をしっかりする。外来種を駆除する方法を知っておくことが大切だと思います。
これ以外にも、簡潔な論文形式で要旨を提出してくれた生徒もいました。「問い」を持ち、それを探究する姿勢を見事に体現してくれました。非常にうれしく思っています。
サイバーフォレスト関係者の皆様、ご教授ありがとうございました。