新しい時代に向かい「一歩前に」
新年度が始まったばかりの朝、正門には、入学したての中学1年生を見送ってから出勤する保護者の姿や、教室の場所がわからなくてうろうろする生徒、「○○を忘れた」と戸惑う生徒の姿など、親も子も新しい生活に慣れるために一生懸命な様子が見受けられました。
新年度が始まって一か月が経ち、昼休みのグラウンドは生徒たちでいっぱいです。
1.入学式・始業式
4月6日午前10時より中学校入学式を実施しました。276名の入学生に加えてご両親、ご兄弟など多くの皆様にご参列頂き、大勢でクラス毎に記念写真を撮りました。
続いて、午後1時からは高校入学式を行いました。今年は高校募集を停止したため、全員が成城中学校の卒業生です。そのような中、真剣なまなざしで式辞に耳を傾けている生徒たちは、3週間前の中学生の時とはすっかり変わって周囲を驚かせました。生徒たちは、わずかな期間に切り替えができ、高校1年生の顔になりました。いよいよこれからが楽しみな学年です。
翌週4月9日9時から中学始業式、10時から高校始業式を行いました。中高それぞれの式で表現は変えましたが、いずれにおいても、文武両道主義を身近な先輩から学ぶことと、自分のロールモデルを探すことを具体例を挙ながら説明して、目標として強調しました。
4月を通して授業観察をしましたが、始業前に教室にきちんと入り、大変落ち着いて授業に集中する光景が映りました。「授業は一回限り。二度ない。」という言葉が通じたようです。新たな校風としてこれからも続いていくことを期待しています。また、6年一貫となった高校1年生の数学の授業では、単元の先取りがされていて、一貫校の良さが内容に現れていました。良いスタートを切ったと思います。
2.チューターの採用面接
本校の自修館(自習室)には、授業日の午後3時から午後7時まで、チューターが常駐して生徒の質問に対応しています。学生チューターは本校の卒業生で、2年ごとに交代します。
今年の卒業生で、運動部のキャプテンをやり、一般入試で難関私立大学に合格した大学1年生がチューターの採用面接に来ました。塾や予備校に頼らず学校の勉強を中心に、自修館とチューターを活用して合格した彼は、「後輩の成城生たちの役に立ちたい」と志願してくれました。
今年の成城高校卒業生には、自修館を利用して難関大学に合格した者が多くいます。文武両道で多くの困難を乗り越え、経験豊富な彼らは人としても素晴らしい先輩です。「自修館は勉強ができる人が来る所だと思われがちだが、勉強ができないからこそ来るところだ。」と、早くも連休前から、自修館で成城生を待ってくれています。大いに活用してほしいです。
また、一橋大学に入学した卒業生も連休明けからチューターを担当します。「自分に続け。」と後輩に伝えたい先輩たち。「先輩が後輩たちの面倒を見る」という成城らしい縦のつながりは、臨海学校や部活動のみならず、このような場面でも受け継がれていくことを望んでいます。
3.ジュニア・フェローリーダーシップ
10人の高校生を日本代表としてアメリカに3週間派遣する「ジュニア・フェローリーダーシップ・プログラム」という研修が、毎年、ジャパン・ソサエティー(日本協会)の主催で行われています。この研修は、日本全国から選抜された高校生を、将来のリーダーとして育成することを目指して実施されるプログラムで、アメリカ東海岸(ニューヨーク/ニュージャージー/コネチカット州とその周辺)での日米の国際交流、文化理解を通して、リーダーに求められる高い知識、実践力を養うための機会が提供されます。
このプログラムの本校の合格者は今年で3人目となり、過日、高校3年になったばかりの小倉琳君が、自らの研修報告に校長室を訪ねてくれました。
3週間のアメリカでの研修を振り返りながら、とても生き生きとして、他の生徒にも参加してほしいプログラムだと語っていました。
4.トビタテ!留学ジャパン
トビタテ!留学ジャパン日本代表プログラムの「高校生コース」第5期派遣留学生として、成城高校1年生小泉信一郎君が応募しました。「国際ボランティア」の分野で採用が決まったという選考結果通知が4月19日付で届き、7月からの留学の準備に入ります。成果を期待していますよ!!
このほか、1年間のロンドン留学が決まったとのことで、別の高校1年生が校長室に来ました。「井の中の蛙」とならぬよう、若いうちに日本から飛び出す機会を得て、自分の目で外を見て、自分で考え、日本にいては気づかないことを感じとり、将来に活かしてください。
5.グローバル研修説明会
今年の夏に本校が主催するエンパワーメント・プログラム、台湾グローバル研修、オーストラリアグローバル研修について、合同説明会を4月9日に開催しました。小講堂には昨年以上に多くの生徒、保護者が参加してくれました。今年は事前事後研修を充実させることから、クラブ活動との兼ね合いで悩む生徒も見受けられました。クラブ活動でもグローバル活動でも、大事なことは集中して「自分のもの」にすることです。
今年も、受け入れ先の人数の関係から選抜を余儀なくされました。グローバル研修の係の先生と管理職を中心に厳正に選考し、結果を発表しました。たとえ選考から外れたとしても、自分から望めばチャンスはまだまだあります。あなたがこの夏をどう過ごすのか、何に集中するのか、そのことの方が大事です。主人公はあなたですから。
6.校外課業
4月26日、27日に中学1年生全員が参加する1泊の冨士山麓での校外課業に同行しました。
当日の朝、事故による通行止めのため3台のバスが遅れて配車されたほか、雨が降って富士山は見えず、田貫湖でのアドベンチャー・プログラムが体育館の中で行われる等、大変な状況でしたが、しっかり盛り上がっていました。
体育館の壁には、アドベンチャープログラムに関する貼り紙がありました。これを読んで高得点を狙って班ごとに競い合います。
下の写真は、班の全員が平均台の上に並んで、台の上で並ぶ順番を入れ替えるプログラムです。
下の写真は、スチール缶に入ったガラス玉をこぼさないようにゴールまで運ぶ「爆弾処理」という名のプログラムです。何度も失敗しながら知恵を出し合い、皆で協力してやり遂げていました。
夕食は全員で「いただきます」をします。テンションが上がって食べる、食べる!! 見事な食べっぷりに少々心配しました。さすが男子校です。「ごちそう様でした」
翌朝、雨上がりの宿の外を出てみました。写真は朝の宿舎です。部屋を片付けて宿を出発してキャンプ場へ向かいました。
飯盒炊爨では、教員も二班に分かれてカレーを作りました。担任以外の先生に、薪で火を起こす人、飯盒でご飯を炊く人、肉と野菜を切ってカレーを作る人と担当を決めつつ協力しながら動きはじめました。手際よく美味しいカレーを作って、担任の先生方に振舞いました。学年の先生方のチームビルディングでした。
仲間を大切にする、皆と協力する、たくさんの人と関わる、挨拶をする等を目標に掲げて、クラスレクや飯盒炊爨を含めた全行程をこなし、生徒も教員も積極的に親睦を深めていました。また、あと片付けでは一部の生徒たちが先生方に怒られながら、集団としての成長もみられました。7月の臨海学校への準備に繋がったと思います。学年の先生方の親睦も深まり、チームはバッチリです。これからの学校生活の基礎ができたと思います。
明日5月1日から改元され「令和」の時代に入ります。このような元号の伝統は世界で日本だけと言われますが、ある意味で生活に身近な文化だと思います。本校は「平成」の時代に「創立130周年」を迎え、成城にとっても様々な思い出を残した31年間だったと思います。「令和」に新しい文化が創られていくワクワク感もあります。平成最後の日、生徒たちには、気持ちを新たに「一歩前に」踏み出す勇気を期待し、成城学校の発展に貢献してほしいと願っています。
平成31年4月30日 校長 栗原卯田子