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中3:理科(課題図書「ソロモンの指環」)

生徒たちの感想に書かれたキーワード

生徒たちの感想に書かれたキーワード

 

中学3年生の理科では、
定期的に課題図書を設定しています。

5月考査は2冊の課題図書を設定し、
そのうちの1冊はコンラート・ローレンツの「ソロモンの指環―動物行動学入門」でした。
雛鳥の「刷り込み」などを研究し、ノーベル賞を受賞した動物学者の書いた本です。
動物愛にあふれた彼の価値観にふれ、良い刺激になったようでした。

生徒たちの書いた感想の一部をご紹介いたします。

  •  私は今まで全くと言っていいほど動物,生物を飼ったことがなかった。自分がダニアレルギーなのもあり,小学2、3年生のときに一度カブトムシを飼ったぐらいで,それもあまり良い別れ方ができなかったので,嫌な思い出である。それから人間以外の生物と関わってこないまま今に至った。そんなことから,私の生物に対する考えはあまりいいモノではなかった。
    なのでこの本をよんで驚いた。読む前は「生き物全肯定なんでしょ?」というイヤなイメージを抱いていた。しかし本の最初には「どうして私は,まず動物たちとの生活のいやな面から筆をおこすのだろう?」とある。イキナリだ。まずそれで度肝を抜かれたし,その後も動物への怒りやいらだちをユーモアを交えて書いていた。それを読みながら,「ああ,この人は動物が本当に好きなんだな。」と思った。ローレンツさんのエピソードはまるでアメリカンホームコメディのようであったし,本当の家族のようであったと思った。だから動物たちのどんなイタズラも許せるのだろうし,ずっと仲良くいられるのだろうと思った。
    いいなあ。自分もそんな生物と一緒にいたいものである。あの時、夜の街に消えていったあのカブトムシが今ここにいるのなら、少し見つめ直してみようと思った。
  • 私は過去にうさぎを二匹飼っていた。うさぎは、上手に飼い慣らしていればなついてくるということを聞いて、何度もそれを試みたが無理だった。しかし、この本を読んで何故なついてくれなかったのかを確認することが出来た。この本の著者のコンラート・ローレンツ氏は本を見る限り、とても多くの動物を飼っていることがわかった。その中で高等動物を正しく知るには檻から出すことと言うことに驚きを感じた。今考えると私はうさぎをほとんど檻に入れたままだった気がする。うさぎだけでなく他の多くの動物も人間と同じような感情を持って生きていることが素晴らしいと感じた。
  • 僕は動物が好きだ。犬は生まれた頃から祖母の家で触れ合っていたし、いまでは自宅でトイプードルを飼ってもいる。また、休みの日には乗馬クラブや競馬場に行って馬と触れ合っている。将来は獣医になりたいとも思っている。そんな僕であるから、この本の著者の気持ちはとてもよく理解できるし、共感できる。例えば、本書の第6章ソロモンの指環では動物とのコミュニケーションについて書かれている。著者のいう通り、僕は飼い犬がどんな事を考えているかなんとなくわかるし、犬も僕が怒っているのか、悲しんでいるのか、苦しんでいるのかなどを怖いほどに見抜いている。また、僕は本書を読んで、アクアリウムをまた作りたいと思った。小学生の頃父の実家で、祖母とともに田んぼの水路でドジョウなどの水生生物を捕まえてアクアリウムを作ったものだ。しかし、宅地開発などにより、田んぼがなくなってしまったため、もう手軽にアクアリウムを作ることは出来ない。この本を読んだことで、当たり前だった自然が消えて行く悲しみは自然がなくなってから初めて気付くものなのだと教えられた。このようにこの本はただ読んでいるだけで、他にもたくさんのことを僕に教えてくれた。動物行動学というものは面白い。動物の何気ない行動の一つ一つに何か意味があり、そこからたくさんの可能性が広がっていく。僕も将来は動物について研究したい。
  • 僕はまず前書きを読んだときにこの本は「怒り」をもって書いたと書かれていたことに驚きました。動物のことを何もしらないで書いている著者や虚偽に対する怒りで、それは動物たちに対する愛から生まれているとも書かれていて興味をもちました。特に面白かった章は「動物たちをあわれむ」です。僕も上野動物園が近くにあるので小さい時から何度もいっているが動物を見るときにあまり可哀そうと思ってみたことはありませんでした。狭い中にいても野生より安全だし、えさも十分に与えられるくらいに思っていました。でもこの章をよんでと飛べないように羽を切られた白鳥が渡りの季節になると飛ぼうとして鳴いたり、何度も挑戦する姿に切なくなりました。また賢い猿は一匹だけ檻に入れていると死ぬほど退屈し、精神的に病んでしまうことから集団の中で飼育しないといけない、など知らないことがたくさんありました。動物にとっては自分たちの習性や行動が邪魔されないことが大事なんだと思いました。今度、動物を見るときには今までとは違う視点でみることができると思います。
  • 昔から少し魚類に興味があり、図鑑で調べてみたこともあったが、この本には、特殊な考察が多く、驚いた。魚類にも人間のような尊敬の心があることやほかの生物の考察にも考えたこともないような独特な事実や考察が山ほどあり、とても驚かされた一冊だった。
  • 本の表紙には、動物行動学入門と書いてあり、なんだか難しそうな本だと思いましたが、読んでみると生物の興味深い話が入っており生物が好きな人には、とても素敵な本だと思いました。
    私がこの本を読んで1番興味が湧いたところは、第2章の被害をあたえぬもの・アクアリウムです。『最近のアクアリウム愛好者は、エアーポンプで人工的に空気を水中に送り込んで酸素欠乏を防止していますが、アクアリウムの魅力は、この小さな世界が自活しているところにあります。魚に餌をやったり、時々手前側のガラスをきれいに拭いたりすることを除けば生理学的には特に世話をしてやる必要もない』と書いてあるところが心に残りました。私も今メダカを飼っていますが、月に1度ほど水を変えていますが、その必要はないということです。
    この本にはたくさんの生物の面白い話が載っていてすぐに読めてしまいました。この生き物たちを手なずけているローレンさんもすごいですが、生物たちが家の中に入ってこようが、カーペットを汚そうが、文句を言わない奥さんの方もすごいと思いました。
  •  この本はとても面白かった。特に10章の「忠誠は空想ならず」は興味深かった。なぜなら、犬を飼っているからだ。僕の犬も同じく、一人の主人(父)に対して絶対だからだ。子犬の時飼い始めたが、気が付いたら、父、母、兄、僕の順位をつけられているのを、はっきり分かった。それは今でも変わらずだ。僕自身、犬とくらしながらなんとなく観察しているが、犬の方もしっかり、人間の動きを観察しているのが感じられる。そこで、9章の「動物をあわれむ」では、精神的な苦しみを感じていることを、あらためて考えさせられた。
  • 僕はあまり動物行動学には興味がなかったが、この本には多くの共感することや、教えてもらうことがあった。そのうちの一つが、印象に残ったことでもあげた、アクアリウムだ。今まではただの綺麗な魚のいっぱいいる水槽としか思っていなかったが、ローレンツはこの本で、アクアリウムは、生態系の完成縮図だ。ということを述べていて、その水槽の中で多くの生き物が成長し、互いを食べあうと考えると、とても綺麗な水槽ではなく自然界における生き方そのものなのかも知れないと思えた。
  • 私は初めは作者コンラート・ローレンツがなぜここまで徹底して動物たちと一緒に生活をし、観察を続けるのかよくわからず、動物が単に好きであり研究に都合がいいからだと思っていました。確かにローレンツは動物たちを本当に愛していると思いますが、読み進めていくと動物たちの愛らしさや賢さが読み手側にひしひしと伝わってきて、今の人間は動物本来の姿を全然知れていないと言う事もわかってきました。動物たちと共に暮らしたのは、そのことを社会に訴えるために、まず自分が真の動物の事を知る必要があったからだと思います。ローレンツのその熱心さに感動しました。