キックオフに向けて
昨日、道行く人たちが正門脇の桜を写真に収めて通り過ぎていきました。今年もきれいな花を咲かせています。この桜は3年前、創立130年の節目を記念して植えられたものです。この3月に卒業した生徒たちの入学からの3年間と重なり、しみじみと成長を感じます。
様々な行事に溢れたこの3月は、別れの時であったと同時に、様々な意味で新しい一歩に向けた切り替えと準備の時でもありました。
1.中学修学旅行・沖縄 (3/3~3/6)
3月考査の直後、中学3年生は沖縄へ、高校2年生は長崎へ修学旅行に行きました。
沖縄修学旅行の一日目は天候が悪く平和学習が進められるか心配をしましたが、小雨の中、ヘルメットを被り、軍手をして懐中電灯を片手に持ち、平和ガイドさんの案内でガマ(壕)に入ることができました。かつて都立高校で引率した頃と比べると、手摺りなどが整備されて安全配慮がされていますが、何度入っても、暗闇の中での出来事を想像すると言葉にならない重たい気持ちになります。ガマから出て、ガイドさんから最後の説明を聞く生徒たちの表情は真剣で、また、見学した平和祈念館で聞こえてきた生徒たちの会話からも、彼らが多くのことを肌で感じ、深く考えながら学んだことが伝わってきました。
二日目以降は自然学習や沖縄の文化に触れる学習でした。「美ら海水族館」は昨年もグループ別の引率で見学しましたが、とても広くて充実しているので、何時間いても楽しむことができます。
生徒たちは選択をして様々な体験をしました。ここではカヌー体験、トンボ玉作りを写真で紹介します。
様々な体験をして仲間と過ごした修学旅行は、中学最後のよい思い出となったことでしょう。彼らは卒業式が終わるとすぐ高校生です。今頃は切り替えて準備をしているところでしょうか。
2.マリースクール・中1 (3/9,14,16)
何度かこの校長室だよりで紹介してきましたが、マリースクールとは理科と算数を通して英語を学ぶ取り組みで、本校では昨年度から中学生を対象にマリースクールの出前授業の形で試行をしてきました。今年度1学期は3年生、2学期は2年生、3学期は1年生の希望者を対象に実施しました。各学期8回程度で、わずかな回数の授業でしたが、最終日には自分が選んだ実験について一人ずつ保護者の前で英語で発表をしました。次年度からは、新1年生の希望者を対象に、年間通しての実施を開始する予定です。
3.アンソニー・トゥー先生 (3/12)
アンソニー・トゥー先生のことも以前からこの校長室便りでご紹介しています。アメリカの毒物研究の化学者でコロラド大学名誉教授です。成城学校ともつながりがあります。
アンソニー先生が来日されて、連絡をいただいたので夕食をご一緒することになりました。
この日、先生は東京拘置所で中川死刑囚と面談をされたと仰っていました。長い間、科学者として心を許して話をされてきた先生です。面会後にマスコミの取材を受け、その足で本校に向かってくださっていることが分かりました。プライベートのお話はいつも通りに楽しく、ユーモアたっぷりに笑わせてくださいましたが、先生はサリン事件に関わって思いがおありのご様子で、今日は何気に元気がないように感じました。
その日の夜、トゥー先生があちらこちらの放送局のニュースなどに登場していることを知りました。先生が東京拘置所を訪問し中川死刑囚に面会されたことや、地下鉄サリン事件に関連するニュースでした。実際にこの事件があったのは3月20日。当時都立高校でクラス担任をしていた私はその日の朝の混乱をよく覚えています。
4.中学3年生を送る会
3月17日、卒業式予行後に、中学1年生と2年生による「中学3年生を送る会」がありました。例年同時に高校3年生の「テーブルマナーの会」があってそちらに参加していたため、今年初めて参観しました。
中学1年、2年生たちの手作り感あふれる催しでした。中学生たち、なかなかやりますね!!
5.卒業式・修了式を終えて
年度末の校務がひと段落したところで、暫く日本から飛び出して、台湾をぶらぶら歩いてきました。台北市のホテルを起点に、目的もなく時間の許す限り台湾を歩く旅でした。
初日は台北市の淡水地域を散策しました。水辺の美しい地域、高台にある旧イギリス領事館跡、大学などひたすら歩きながら巡りました。
続いて、台北市にある二二八記念公園を訪ねました。二二八記念館では、台湾の民主化運動の歴史が展示されていて、学校では習わなかった台湾の歴史を知ることができました。
広い公園内を歩くと国立台湾博物館がありました。ここは、古い建物を利用していますが、その建物とは大正時代に建立された「児玉総督及び後藤民生長官記念博物館」です。
児玉総督とは、台湾総督だった本校第7代校長児玉源太郎先生です。そして、総督府の民生長官だった後藤新平氏、この二人の銅像を見つけました。日本統治時代の台湾を学ぶことができました。
これらのほかにも、特急電車と新幹線を利用して台南まで足を延ばし、ここでもひたすら街を散策し、様々な触れ合いがありました。
台南駅前には、以前本校を訪ねてくれた国立成功大学のキャンパスが広がっています。鄭成功の名にちなんだ大学です。
駅前から歩いて旧市街地に向かうと、史跡や博物館がたくさんあります。ここでも台湾と日本人との関係を学びました。
ひたすら歩いて感じたことは、グローバル化に成功している台湾の活気と台湾人の優しさでした。例えば、中国語が全く話せないので私が駅などでまごまごしていると、若者が寄ってきて英語で説明してくれたり、場所まで連れていってくれたりする場面を多々経験しました。当てのない思いつきの旅でしたが、何よりも、出会った台湾の人々のあまりの親切に驚きました。2020年のオリンピックの時には恩返しをしたいと思いました。
というわけで、しっかり充電をして帰国しました。
さぁ、明日からいよいよ新年度です。切り替えをして、スタートしましょう!
平成30年3月31日 栗原 卯田子