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校長だより

主体性のカギ

毎年6月は教育実習受け入れ期間です。卒業生である若い先生たちが実習生として、先輩として生徒たちを教えます。梅雨空の中にもかかわらず、若さがあふれていた6月でした。学校としては、グローバル時代に逞しく生きる力を付けるという観点から、生徒たちが自分の興味・関心のもとに自ら参加する機会をたくさん作りました。今月号は「主体的に生きる」ことをテーマとして日々取り組んでいることを紹介したいと思います。主体性のカギは・・・?

 1.男子校フェスタ

6月4日毎年恒例の「男子校フェスタ」に参加しました。学校見学会や学校説明会で私はいつも様々な例を挙げながら「男子校のよさ」を語ります。伸び伸びと学べる環境、自分が主人公になれる場、自分が仲間と一緒に成長する場を求めて、今年も「男子校フェスタ」には、多くの男子小学生が集まりました。本校ブースはもとより、「成城ミニ説明会」「成城鉄道研究部」「成城授業体験」にも沢山の来場者がありました。さらに、生徒会は生徒の立場から、師親会 (保護者)は保護者の立場から、イベントやブースでそれぞれ対応して、まさに「チーム成城」としての学校紹介ができました。男子小学生の皆さん、9月以降の学校説明会や文化祭にもぜひ足を運んでくださいね。先輩たちが皆さんを待っています。

2.台湾の19大学と交流会

今夏の台湾グローバル研修の参加者とその保護者、そのほか興味関心のある生徒や保護者を対象に、台湾教育センターの協力を得て、台湾の国立私立を含めて19大学との交流会が開催されました。台湾グローバル研修の参加者にとっては、事前研修の一環です。全体会の後、各人がそれぞれ質問を用意してブースにて交流しました。

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生徒たちは、「英語をもっと勉強する」「中国語をやりたい」「本番が楽しみ」「外国の大学生は確固たる目標・志を持って学習に臨もうとしている。勉強への意識で日本との差を感じた」・・・という感想をもったようです。感想文は想像していた以上でした。まさに本番が楽しみです。

3. グローバル講演会①

4月号5月号で既に予告しましたが、6月17日(土)第1回教育講演会を開催しました。小講堂には300人ほどの人が集まり、ホールには、国立極地研究所から届いた「南極の氷」「越冬隊の防寒具」が展示され、盛況でした。

南極の氷を触って「軽い!!」と生徒たち。それは何万年前もの空気をたくさん含んでいる氷なので、軽いのです。水に入れるとプチプチと気泡が浮いてくるのが分かります。

今回の講演会の面白さの一つは、第16次、第50次、第58次に関係する講師が60年にわたる南極観測の歴史の中で、変わらぬ自然と技術の進歩を感じさせてくれたことです。

始めに海上自衛隊のしらせ乗務員である堀江泰秀氏が、砕氷艦「しらせ」のしくみについて、氷を割って進む仕組みなど最新の技術を映像を使って説明してくれました。船やテクノロジーに興味のある生徒にはたまらなく面白かったと思います。また、南極の厳しい自然の中での食事やその他の任務についても説明がありました。

本校の理事長は本校の卒業生で、高校、大学と山岳部で鍛え、42年前に第16次越冬隊に医師として参加しました。当時の南極での写真の一つに、室内に8人の男が横に並んでいる写真がありました。一番右は下着1枚の姿。その左に2枚着ている人。その左に3枚着ている人。・・・5枚目あたりに医師というより山男の風貌の若き日の理事長。・・・そして一番左は8枚着ている人が並ぶ写真です。屋外には8枚も着て出ていったということを記録した写真だそうです。改めて小講堂前のホールに展示された防寒着を見ると、「8枚も着ていた時代」と明らかに異なり、ヒートテックのような軽い繊維を採用していることが分かります。新技術の開発が、極地の研究開発にこのようなところで貢献しているのですね。

一方で、氷山、氷柱、ペンギン、アザラシ等の映像からは、自然の景色は42年前とほとんど変わっていませんでした。

気象予報士で写真家としても有名な武田康男先生の講演では、「空」の美しさを南極に限らず広く様々な観点から見せていただくことができました。武田先生はまさに自然の美しさの虜になっている、と感じさせるほどの熱演で、その後も多くの質問に応えられていました。

「しらせ」乗務員、調理人、医師、研究者、・・・。地球の研究はどれも、様々な役目を果たす人々に支えられて成り立っているということを教えられる講演会でした。今回の講演会に参加して、「自分なら何ができるか」「自分も南極に行って貢献したい」こう思う人がいたのではないでしょうか。

4. グローバル講演会②

カリフォルニア大学ディビス校から藤田斉之先生をお迎えして、第2回教育講演会を6月24日(土)に開催しました。先生はエンパワーメント・プログラムの創案者で、前任校からのお付き合いです。今回も生徒、保護者、教員を含め300人程の方が参加されました。

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この日は、上海でのご講演の帰りに本校に立ち寄られての実施となりましたので、アメリカから日本の学生を見た感想に加え、中国の学生の真剣さ、国策としてのエリート教育などにも触れられました。生徒たちの未来を預かる者として非常に危機感を持ちました。また、日本人として日本文化の特徴を強調され、特に日本の教育改革で言われているアクティブラーニングについては、日本語の言語的特徴から本質的に困難である点を話されました。グローバル時代をどう生きるか、私がこの講演で捉えたことは、生徒たちが逞しく生きるために必要なことは「主体的に生きる力」、「多様な人々と生きる力」、「協力して生きる力」・・・そのための自己確立、自己実現であること。そして藤田先生のキーワードは「選択」。今後も藤田先生のエンパワーメント・プログラムの改善に協力していきたいと思います。

5.オーストラリア視察

2つの講演会を挟んで、6月19日から22日までの4日間、私はオーストラリアのクィーンズランド州ブリスベンとその郊外を訪問しました。目的は、今夏3回目となる「オーストラリア・グローバルリーダー研修」の受け入れ校への表敬訪問及び視察です。訪問校は■クィーンズランド大学■南クィーンズランド大学◆ハリスタウン高校◆トゥーンバ高校◆ウィルソントン高校です。とても良い感触を得ました。掲載情報量の関係で、次号以降にお伝えしたいと思います。お待ちください。

6.マリースクールによる算数・理科のイマージョン授業

中学3年生の希望者を対象に、この1学期に8回シリーズで算数・理科のイマージョン授業を本校で実施しました。後半、理科では、英文を読んで「卵の白身と黄身を分ける実験」をし、結果を発表し、意見を言うという取り組みをしていました。

最近は、①自分で実験を考える ②ポスターを書く ③クラスでプレゼンをする 等の授業を見学しました。まずは「サイエンスの過程」に沿って英文で書き、実験を決める。疑問に思ったこと、仮説、実験材料、実験手順等をポスターにまとめていました。生徒たちは主体的に生き生きとして活動していました。

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7.自修館

7月考査1週間前。部活動禁止の中で、勉強ムードが出てきました。自修館は連日満席。閉館前の夜7時前に覘きに行くと、席を離れてチューターに質問に行く生徒、廊下に出て友達に教えてもらう生徒など、真剣に学ぶ様子が伺えました。

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8.生徒会の活動

毎朝正門に立っていますが、6月は生徒会の生徒が一緒に、登校する生徒の交通整理を自主的にしてくれました。混雑する時間帯に、広がらないように通学路の白線の上に立っています。多い日は20人くらい立っていました。正門前に立つ日数も人数もまちまちですが、地元の方や通勤されてくる方の迷惑にならないよう、生徒会が自分たちで主体的に決めてやっているようです。ありがとう。

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道に広がらないように通学路の白線の上に立つ生徒会の生徒たちです。


学校帰りに夫と待ち合わせして国立演芸場に行き、夜の部で趣味の落語を聞いたり、休みの日に小石川高校・中等教育学校関係の行事に出向いたり、4日間学校と家を空けてしまいましたがオーストラリアに視察に行ったり、振り返るとこの6月は忙しいながらも「自分」らしく「主体性」をもって充実して過ごしたと思います。主体性のカギは「コミュニケーション」。逆説的ですが私はそう思います。

平成29年7月1日 校長 栗原卯田子