「授業」の締めくくり
2月は、中学の入学試験が1日から始まり、中学入試、高校入試と続いて気づくと卒業準備の声。あっという間に慌ただしく過ぎていきました。
大学入試終盤の高校3年生を除くと、成城生にとっての2月は1年間の授業の「締めくくりの月」となりました。
1.中学入学試験・中学校新入生説明会
2月1日から29年度中学入学試験を2月3日、2月5日と計3回実施しました。当日は早朝6時半に出勤しましたが、すでに門の外で塾関係の方々が受験生を応援して出迎えようと待っていました。
3回目の入試を導入して4年になりましたが、今年の3回の応募者は延べ2273名。受験者は延べ1582名でした。昨年の受験者が多かったために今年は敬遠されたのか、この辺りが落ち着きどころなのか、まだよくわかりませんが、2月18日に入学予定者の保護者同伴の説明会を開催しました。入学したいという前向きな気持ちが伝わってきて、とてもよい雰囲気を感じました。授業をはじめ最後の小学校生活をしっかりやって準備を整えて入学式で会いましょう。
2.レールガンの実験
科学部の生徒たちからお誘いを受け、2月17日にレールガンの実験を見せてもらうことになりました。今回は2度目の公開実験で、部員はヘルメットをかぶって実験に参加していました。高校生に交じって中学生の部員が特に緊張しているように見えました。
とりあえず実験は成功。アルミ缶に的中しましたが貫通はしませんでした。翌週、代表生徒が下の写真の「実験報告書」を持って校長室を訪ね、詳しく説明してくれました。
生徒が意欲的で、研究はこれからまだ続いていく気配です。安全に配慮しながら応援していきたいと思っています。
3.英語ファイナルプレゼンテーション
中学生は毎週1時間ずつネイティブの先生による英会話の授業があります。この中で1年生は、3学期に授業のまとめとして、グループによるプレゼンテーションしました。内容は、自分たちでお薦め商品を決めて「テレビショッピング」で売り込むという場面を自分たちで考えて発表するというものです。
2月15日(水)にはホームルームの時間を使って、各クラスから選ばれた代表グループによるファイナルプレゼンテーションが開催されましたので見に行きました。
発表する授業が増えているせいか、中1といえども場慣れしてきている、と感じました。また、男子校のノリでしょうか、笑わせる場面が多くあったように思います。聞き手の生徒たちの姿勢も真面目で楽しいひと時でした。
4.高2現代文のプレゼン
本校は高校2年生でクラスを文理に分けます。理系クラスの国語の授業を参観しました。
国語「現代文」の3学期の授業は、グループを作り、自分たちで理系のテーマを選び、課題を設定して調べた結果を発表するというものです。2月25日の授業はまとめの発表会で、大会議室で行われました。
様々なテーマがありました。理系ということで、環境、AI(人工知能)、ロケット、VR(virtual reality・バーチャルリアリティ)、自動運転などを扱った発表が多くありました。
授業時間内の限られた発表時間だったため、もっと聞きたい、質問したいと思うものがありました。論理的に組み立てられ、パワーポイントによる工夫もされていて、2学期に行われた「弁論」に続いて、生徒たちの成長を感じました。
クラス毎に、プレゼンテーションの1位と2位が決まり、以下の通り発表されました。
E組 1位 早乙女班「掃除機ってなに?」 2位 丸山班 「AI~現状と可能性~」
F組 1位 石崎班 「セルフュージョン細胞融合」 2位 牛久班 「口噛み酒について」
G組 1位 櫻井班 「AI」 2位 山本班 「海上都市」
H組 1位 梅澤班 「進化し続ける感染症とその対策」 2位 井上班 「風邪症候群に対する特効薬」
5.最後の授業
上記のような学期の授業のまとめがされている中、教員人生の最後の授業もあちらこちらで行われました。
◆2月22日、自修館の前の廊下を歩いていたら「冒険の蟲たち」という本を数名で覗き込んで読んでいる生徒たちに、出くわしました。
これは、本校理科の長篠先生が若き頃のアメリカでの冒険を描いた本とすぐわかりましたので、「その本、私も読んだことあるけれど、どうしたの?」と聞くと、「長篠先生が授業で話していたので図書館で借りてきて一緒に読んでいます。」とのこと。きっと今日、長篠先生から最後の授業で「特別な話」を聞いたのでしょうね。
◆2月25日、グランドでは体育科田中先生がサッカーの授業をしていました。
◆今年はご退職される先生が多くいらっしゃいます。特に成城は個性豊かな先生が育つ環境で、さらに私学は異動がありませんので、それぞれの先生にとって「退職という重み」は計り知れません。生徒たちにとってもこれらの別れが一生の思い出になっていくのだと思います。
6.卒業生の来室
本校から京都大学に進学し首席で卒業、その後京都大学大学院に進んだ卒業生の横山君が、「これからアメリカのウィスコンシン州の大学で研究してきます。」と先ほどの長篠先生と一緒に挨拶に校長室に来てくれました。「もっともっと上を目指せよ。」と笑いながら激励する長篠先生の目を見て、彼は輝いていました。「成城生は『ノビシロ』がある」とここでも思ってしまいました。
先日、前任校の教え子が校長室を訪ねてきました。大学卒業を控え就職内定の報告でした。早いものです。みんなどうしているのか、気になってきました。
7.友谷文庫
友谷先生が亡くなられて1年以上たちました。成城の学校図書館に「友谷文庫」が開設されたことから、ご両親が沢山の本を、お手紙を添えて贈ってくださいました。
萩原朔太郎や太宰治など人生や愛を考える哲学的なもの、国語の授業に出てくる古典を扱ったもの、哲学書もあります。読後に友谷先生と話したくなるような本ばかりです。これから「友谷文庫」に加えて皆さん方にお披露目しますので、成城の図書館を覗いてみてください。
8.最後に
本校でご講演され、「校長室だより」でよく話題にしていますアメリカのアンソニー先生の近況をお知らせします。
毎日新聞の記事を御覧になった方はご存知かと思いますが、北朝鮮の殺害事件が毒物を扱ったということで、アンソニー先生に取材があり2月25日の毎日新聞で報じられました。
アンソニー先生は日本のサリン事件の解決に貢献した科学者として、オウム真理教の中川死刑囚の特別面会人を許されており、中川死刑囚から先生に突然届いた手紙について取材を受けられ記事となりました。その後先生からメールをいただき、4月にまたご来校頂けることになりました。なお、ご講演は事件の内容ではありませんので、念のため。
年度末まであと1ヶ月になりました。修学旅行、卒業式、修了式など、大切な行事を控えています。年度の締めくくりとして充実して過ごしたいと思っています。
平成29年2月28日 栗原 卯田子