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校長だより

成城グローバルを過去から未来に向けて

成城の歴史上の人物として、台湾にかかわりのある第7代校長児玉源太郎先生を先月号で紹介したところですが、今月は、大正から昭和にかけてのことを紹介しようと思います。
1.大正時代の成城グローバル

本校は大正6年に澤柳政太郎先生を第9代校長に迎えます。京都大学の総長を辞任されて、成城中学校校長に着任され、成城では「林間学校」や「臨海学校」を全国に先駆けて始められた校長で、「自修館」の創設もされました。この時代は、大正デモクラシーや自由主義が教育に影響を与えた時代で、明治以来の画一的・形式的・機械的詰め込み主義教育に対して新しい考えの教育が展開されました。1点刻みの入試を改めようとしている現在の教育改革の動きに何か似ていますね。

このような時代背景にあった日本から、当時カナダのトロントで開催された国際教育会議に、成城学校の澤柳政太郎校長と、府立五中(現小石川中等教育学校)の初代校長伊藤長七先生の二人が参加した、という歴史があります。

 

2.ベル先生を紹介します

さて、その頃の成城の話ですが、エリック・スチュアート・ベル先生がニュージーランドより来日し、大正12年4月より長きにわたって本校の英語教育に携わりました。また大正13年には、パーカスト女史がアメリカから来日し、本校体育館で「ドルトン・プラン」(ドルトン式児童教育法)についての講演が開催されました。このように明治時代に創立された成城学校にも時代の変化は訪れていました。

 

3.静岡県私学教育振興会

実は、6月6日に静岡県私学教育振興会の教頭専門部会の20数名の先生方が県外視察研修の一環として来校されました。その中におられた沼津精華学園の校長代理をされている秋鹿先生から後日お手紙をいただきました。その中に書かれていたことは何とベル先生のことでした。ニュージーランドから来日以来『成城中学』に勤務されていて、秋鹿先生の祖父の代に沼津精華学園で教鞭をとられたことが記録に残っているそうです。さらにお墓が沼津の蓮光寺という秋鹿家の墓地の中にあります、…と。驚くばかりでした。

百年史「成城学校百年」によると、当時成城には二人の外国人教師がおられたとあります。この百年史に、静岡県知事からベル先生に贈られた感謝状の写真が掲載されているのですが、この意味がようやく分かりました。成城学校を退職された後、母国には戻らず、静岡県沼津市で余生を送られたのですね。以下は「成城学校百年」の一部分です。

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大正から昭和にかけての時代、本校が日本を代表する先進的な学校であったこと、そして、私学どうしの繋がりは実に大切にされていること等、改めて感じる出来事でした。

 

4.台北医学大学 Taipei Medical University

6月17日、台湾にある台北医学大学(TMU)の方が、校長室を訪ねてくださいました。せっかくなので、昨年台湾研修に参加した生徒で医学に関心のある生徒に声をかけ、私も一緒に話を聞きました。

TMUは、数年前に日本で新型インフルエンザが流行した頃に、前任校で、感染症を専門とする世界的な研究者にお目にかかったことがきっかけで知り得た大学です。私は昨年夏に実際に台北医学大学を訪問しましたが、「国際レベルの医学大学」を目指して取り組みを進めているスケールの大きな私立大学であることを今回改めて認識しました。

image002医学部、歯学部、薬学部、看護学部、管理栄養、臨床検査技師のコースは、大学では中国語、大学院では英語で授業をされるそうです。結局、グローバル時代に逞しく生きる道を拓くためには、自分の興味関心を把握した上で、いかに若いうちに語学をマスターしておくべきか、このことが大変重要であると思いました。台湾で医師として活躍する道、日本で医療ライセンスを取得する道など、日本人が活躍できる可能性が見えてきました。「言葉ができれば」です。

 

5.台湾・東海大学

今年の夏の台湾研修は台中にある東海大学(Tunghai University)で、日本では早稲田大学や立命館大学と交流をしている大学です。生徒たちは今から事前学習をして準備しているようです。

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6.台湾事前学習の一部

6月18日(土)、今夏の台湾研修参加者を対象に事前学習が美術室でありました。この日の講師は美術科の今崎先生で、台湾の故宮博物館の展示物とその芸術的特徴や文化的背景などについて、映像を活用して学びました。講義のあとは全員に石と彫刻等が配られ、各自であの有名な「白菜」を真似して実際に彫ってみることになりました。この後私は用事で中座してしまったため最後の制作物が見られませんでしたが、果たしてどんな白菜になったのでしょう。

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7.高校生国際会議

6月のある日、高校3年生のある生徒が校長室にやってきて、私の前でプレゼンを始めました。それは、彼が代表をしている「高校生国際会議」について私に理解を求めるもので、活動の趣旨、活動の実際と課題、今後自分がやりたいこと、などが説明されました。この会議は、高校生のみを対象とするもので、大人は入れない、高校を卒業すると退会するという、純粋な高校生会議だそうですが、資金は協賛企業を募って協賛金で運営しているとのことでした。趣旨を理解してくださる講師をお招きして講演を聞き、討論し、意見発表をするのだそうです。このような活動をしている生徒が本校にいるとは思ってもなかったためびっくりしました。さっそく職員会議でも報告しました。18歳に選挙権が与えられたわけですから、多方面から情報を得て、様々な観点からしっかり考えて自分の意見をもち、責任をもって行動できる大人になってほしいと思っています。

 

次は国際関係ではありませんので、「おまけ」です。

8.文化部創作ダンス発表会

6月26日(日)昭和女子大学の人見講堂で開催された東京私立中学高等学校主催の「文化部創作ダンス発表会」に、協会担当として出席しました。出演は52曲。参加者は1347名で女子がほとんどです。久々に女子中学生、女子高校生の活発な創作活動を見て、懐かしく、また、美しく、一生懸命な姿に感動しました。会場定員の関係から、保護者や一般は見学できませんが、本校生徒にもこの素晴らしい舞台芸術を是非見せたい、誰かに見せないのはもったいない、などと思いながら過ごした一日でした。

関係の先生にお聞きしたところ、上位入賞した学校の演技は、12月に一般公演があるとのことです。さらに磨きのかかった演技になることを期待して、出向いて鑑賞したいと思っています。

 

9.調理実習

高校2年生からの調理実習招待状がレターケースに入っていました。「ハヤシライス・コンビネーションサラダ・桃のババロア」というメニューにつられて一人の教育実習生と一緒に出向きました。

image004出来上がりはご覧のとおり「男子用盛り付け」でした。実習生を囲んで一緒に食事をしながら生徒たちと話しました。話題は、実習生も習ったことがある家庭科のY先生のこと。40人の男子に調理を指導し、後片付けをさせるその迫力ある姿に、教える立場から見た実習生は「半端なく、すごい先生!!」と。

image005いよいよ7月考査が始まります。うっとうしい梅雨の最中ですが、しっかり食べて、元気よく頑張りましょう。

 

 

最後になりますが、この6月に「学則」の変更について、認可が下りましたのでお知らせします。29年度中学校の募集を280名にします。詳しくは9月以降の学校説明会でご説明いたしますのでよろしくお願いいたします。

 

平成28年6月30日

学校法人成城学校
成城中学高等学校
校長 栗原卯田子