文芸同好会:夏合宿「大阪探訪」報告
文芸同好会の合宿は、8月18~20日の日程で、「大阪探訪」でした。大阪の文学的史跡を訪ねたり、大阪の空気を体感したり、執筆のヒントを得る旅でした。
東京駅に8時20分に集合して新幹線に乗り、出発しました。合宿に参加した生徒は7人です。集合時間よりも1時間早く来たという生徒もいましたが、そのおかげもあって予定時間より早く全員が揃いました。行きの新幹線では、「リレー小説」という共同製作を行いました。これは、始めの10分で、まずは自分の思うままに話を書き始めます。それから10分ごとに区切り、自分の書きだした小説を順番に次の人に回します。他の人からも小説が回ってくるので、原稿用紙がきたら、その続きを考えて書き足していくというものです。書き出した人の思惑通りになるようなこともあれば、予想外な展開になることもあり、そこが一人ひとりの個性や文学の奥の深さを感じさせてくれます。
3日間という短い期間だったものの、数えきれないほどの名所を訪ねました。後々に調べてみると、3日間の合計歩数は何とおよそ5万歩。さすがは別名「第2山岳部」です。
初日のスタートは、司馬遼太郎記念館でした。閑静な郊外にある記念館の中には、膝の高さから2階の吹き抜けまで高々と突き抜けた本棚がいくつもあり、司馬遼太郎の著作や執筆にあたって使用した資料で埋め尽くされ、圧巻でした。次に、井原西鶴や近松門左衛門の墓にお参りをしました。なぜか、井原西鶴の墓前で、小論文の模試の順位の向上を願った生徒も。井原西鶴は、浮世草子・人形浄瑠璃作家、俳諧師ですよ・・・・・・。小論文とはちょっと関連が浅い気が・・・・・・。他にも、神武天皇の国家安泰の祈願の由緒を持つ生國魂神社や国立文楽劇場、大阪と言えば定番の道頓堀を訪ねました。夕食は、みんなでお好み焼きです。同じ釜の飯ならぬ同じ鉄板のお好み焼きを食べ、和気藹々と親睦を深めていました。学年的に偏りがある(今回、合宿は中学生の参加者は1人だけでした)ものの、学年の壁を感じさせない仲の良さでした。
2日目は、欲張った1日でした。朝8時にホテルのロビーに集合だったのですが、前日夜遅くまで(早朝まで?)はしゃぎすぎて、うっかり寝坊してしまった生徒もいました。先に集合していた生徒も待ち時間にうとうと・・・・・・。そうはいうものの、全員揃えば元気が出るようで、てくてくと歩いては電車を乗り継ぎ、話に花が咲きました。
あいにく、途中で雨が降ることもありましたが、四天王寺で伽藍や壁画を見たり、通天閣に登って大阪を見渡したり、法善寺横町(織田作之助『夫婦善哉』にゆかりがある町)や上方浮世絵館を訪ねて、道頓堀で船に乗り、川の上から活気溢れる大阪の雰囲気を楽しみました。その後は、大阪城の8階天守閣まで徒歩で登ったり、大阪歴史博物館で長柄豊崎宮・難波宮に関する展示や大阪の町の在りし日の姿の再現など、創作意欲をかき立てるものをたくさん見たりしました。日が暮れてからは、話題の観光スポットとされている梅田スカイビルの空中庭園に行き、夜景を一望しました。屋上は、ブラックライトを使った演出で、その名の通り星空の中を散歩しているかのように錯覚する綺麗な場所でした。2日目を振り返ってみると、高所巡りの1日でした。
3日目は、疲労がピークだったようです。寝坊した生徒の数が前日より増えていました。そうはいっても、合宿参加者の総数が少ないので、先生が既に起きている友達と一緒に起こしに来てくれるサービスつきです。こんな手厚い同好会、他にあるでしょうか・・・・・・? 面倒見の良さと、先生と生徒との仲の良さも大きな売りの1つです。本場の漫才には到底敵いませんが、お笑いのような楽しいやりとりもありました。最終日は新幹線の時間もあるので、詰め込みすぎず、芦屋市谷崎潤一郎記念館に絞りました。展示パネルやゆかりの品々を見て、谷崎潤一郎の生涯や作品にふれ、静かな庭と屋敷に目をやり、谷崎潤一郎の独特かつ耽美な世界に酔いしれました。
帰りの新幹線では、みんなお疲れのようで、3日間の体験に思いを馳せつつ、うとうとと夢の中でした。