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令和5年度 始まりの式典~入学式と始業式~

中学校入学式

4月6日、中学校と高等学校それぞれで、入学式が行われました。
岩本校長先生は、中学校の入学式において新入生に、まずは伝統ある成城の歴史と建学の精神を話した後、以下のような式辞を述べました。

変化の大きな時代においても、学校で学んでいく基本的な姿勢は変わらない

私たちが生きている時代は、様々な変化が起きている時代と言えます。科学技術の向上による人工知能の普及や、人や物のグローバルな移動。そして、国と国のかかわり方など、様々な場面で変化が進行しています。ただ、このような変化の大きな時代においても、みなさんが学校で学んでいく基本的な姿勢は大きく変わりません。

校長先生はこのことについて、成城に古くから伝わる「学習十五則」から2つを引用して説明をしました。

1.学習十五則 十四

学問に関係ある事物は、其の人事たると視線現象たるとを問はず、之を観察し実験して、以て研究資料とせよ。学習は、必ずしも教室の内、書物の上には限らざるなり。

社会のことや自然のことを問わず、よく観察して実験しなさい。教室の中や教科書のうえのことだけではなく、外に出て、実際にさまざまなことを体験しなさい。

言い換えると、「本物に触れる」ことが重要である。ということです。
この数年に渡って行動に制限がかかってきたが、ようやく自由にさまざまな場所へ行くことができるようになりました。映像の中でしかみることができなかった景色も、実際にその場に行くことによってさまざまな発見ができることでしょう。画面からの情報でしか得られることがなかった情報を実際に得ることで、さらに興味を持って物事を理解したり、それまでの経験と結びついて深い記憶となったりするのです。

成城中学校には「臨海学校」という中学1年生の行事があります。
海で泳ぐことだけが目的ではありません。実際に海に行くことで、それまでに気づくことができなかった「空の色」「波の音」「磯の香り」「海水の塩辛さ」「砂の感触」など、自分の五感を全て使って得られる情報をもとに、自分の経験として蓄積していくことが重要なのです。そしてその経験が、後の課題の解決へ繋がっていきます。
これからの中学校生活でできるだけ多くの「本物」に触れていってください。

2.学習十五則 十二

問ふに躊躇する勿れ。答ふるに逡巡する勿れ。伏蔵せらるる疑問は氷解する時を得ず。発表せられざる思想は洗練せらるる機を失ふ。

特に頭に入れておいて欲しいことは、「発表せられざる思想は洗練せらるる機を失ふ。」
自分の中で考えたことを表に出していくことで、他の人からの意見を取り入れ、更に良いものにするということです。
いまは苦手であるかもしれないが、入学後の授業や部活動、生徒会活動などにおいて、何度も自分の考えを発表して少しずつ学んでいってください。6年後には必ず、自分の考えを述べられるようになっていることでしょう。

これまでに卒業していった生徒は、みなさんと同じように入学して、立派に卒業していっています。その先輩たちが語る言葉には、それぞれとても重みがあって、心にしみるものばかりです。みなさんも在学中に先輩の話を聞くことがあると思いますが、その言葉を自分の中にとりいれて、成長していってください。そしてきっと語ってくれた先輩たちの中に、自分の目標となる存在が現れ、その後の行動に変化が現れることでしょう。

校長先生の最後に、参列された保護者の方々へ祝辞を述べた後、

男子校は、男子がのびのびと育つ環境です。

この6年間だけではなく、卒業後も伸びていける男子を育てる教育をめざしています。

と述べ、式辞をしめくくりました。

感染対策が緩和され、本校の広い体育館をめいっぱい使うことができるようになりました。

新入生は緊張の顔色をうかがわせつつも、校長先生のお話に耳を傾け、これからの中学校生活に思いをめぐらせているようでした。

始業式

4月8日には、中学校、高等学校それぞれの始業式が行われました。

入学式に引き続き、岩本校長から、大きな変化の後には大きな変化がおこることをペスト後のルネサンスや、世界大戦での科学的な発明を例に、すさまじく変化していく昨今の世界を見据え、「学習十五則 七」を示し個々の学びの大切さが語られました。

学習十五則 七

学習して群疑の続出するを歎ずることなかれ。疑問は蓋し発明の母なり。

疑問が生じることを嘆くことも恥じることもない。疑問はまさしく次にうまれる発明の母である。
勇気を持って大いに学習に向かっていけばよい。

 

校長式辞に続いて、対面式がおこなわれ、中学1年生、高校1年生そして、彼等を迎える先輩たちでけじめの挨拶を交わしました。

さあ、令和5年度が始まりました。