お知らせ
中3有志:「つくばサイエンスエッジ2021」参加
3月26日(金)・27日(土)、中3有志が「中高生国際科学アイデアコンテスト・つくばScience Edge2021」に参加してまいりました。
参加した生徒は、環境問題を解決する同好会を立ち上げたいと活動している生徒たち。昨年の7月から活動を始め、ここまでの活動の総括を発表してきました。
発表した内容は、
「オンラインワークショップの開発~小学生向け外来種&ヒアリ学習ワークショップ~」
「お台場海浜公園におけるマイクロプラスチック調査」
の2つです。
今年度はオンラインでの参加となりました。初めてのプレゼンテーションですので、緊張している様子でしたが、立派に発表していました。
発表した内容を以下に記します。
背景 | 外来種の中でもヒアリは毒針でヒトを加害する危険な外来種である。日本では2017年に発見され,港湾部ではヒアリが定着する危険性が高まっており,市民のヒアリ監視活動への参画や外来種リテラシーの向上が求められている。そんな中,吉村ら①は,沖縄県の小学生を対象に,野外観察・採集と顕微鏡観察を省略したコンパクトな「小学生向け外来種&ヒアリ学習ワークショップ」を開発し,これを通して「ヒアリ」「外来種」などの認識率が上がることを明らかにしている。 ①吉村 正志,諏訪部 真友子,池田 貴子,小笠原 昌子,Evan ECONOMO「小学生向け外来種&ヒアリ学習ワークショップの開発と実践」 |
目的 | 新型コロナウイルスの影響によって,小学生のフィールドワークやワークショップなどの学びの場は失われている一方で,各所で文化祭などをオンラインで行う取り組みがある。そこで,吉村ら①が開発したワークショップの東京版を作成し,本校オンライン文化祭でのワークショップ開催を試みた。ワークショップは,ヒアリの日本定着を阻止するために身近にいるアリを長期的かつ日常的に観察してくれる市民参加型外来種監視体制を作ることを目的とし,自然環境への興味関心が旺盛な小学生に,アリの同定などの知識を楽しく教え,ヒアリを見分けられる「小さなアリ博士」として養成できる内容を心掛けた。 |
研究計画 |
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研究結果 | 実際の動画はこちらで閲覧することが出来る。文化祭開催期間中の視聴回数は350回を超え,来場者アンケートでも高評価をうけた。オンライン上でも同定体験というワークショップが可能であり,来場者にヒアリの日本定着問題に関心を持ってもらうことができた。 |
展望 | 本研究を通して,オンライン開催でのワークショップの可能性を明らかにすることができた。今後,シナリオ等の改訂を行い,改良したものを継続して公開していきたいと考えている。また,同定体験後の解説動画では,今回は外来生物問題を主眼としたものであったが,今後は,より一層,ヒアリの定着阻止に主眼を置いた内容にしたいと考えている。例えば,ヒアリの定着を阻止した唯一の成功国であるニュージーランドの対策は,島国である日本にとって大変参考となるものであることを学んだので,今後は,この研究を深めていき,小学生だけではなく,日本中の多くの方々に広く浸透できるような活動につなげていきたいと考えている。 |
背景 | マイクロプラスチックとは、5㎜以下の微細なプラスチック粒子のことを指す。近年、海洋のプラスチックごみが世界的な問題になっており、生態系への悪影響が心配されている。マイクロプラスチックに関する研究は多方面で行われており、現在、標準的な調査手法の確立や、調査結果を開示することによる市民への啓発運動が求められている。 |
目的 | そこで、本研究では東京湾内の都民の憩いの場であるお台場海浜公園のマイクロプラスチック調査を行い、環境への影響を明らかにするとともに、その調査結果を一般の人でも見られるよう動画でも公開することで市民へのプラスチックごみの削減を啓発することを目的とする。 |
研究計画 | 調査は8月におこなった。調査方法は、鈴木ら①にならい深さ1cm×50cm×50cmの砂をサンプルとして採集した。サンプルは海浜全体を4か所採取し、海浜を広くプロットして採取した。併せて、生物観察も行った。また、お台場海浜公園の砂の由来を文献調査した。 サンプルの解析も、鈴木ら①にならい、ふるいで細かく分けた上で、比重1.5のヨウ化ナトリウム水溶液(約70%)を生成し、砂よりも軽いマイクロプラスチックを浮かせて、浮いた物質を観察した。本来であれば、すべてのサンプルを浮かせたいが、学校で実験するには水溶液が高価になってしまうため、サンプル量を15mlにしぼって双眼実体顕微鏡と光学顕微鏡で観察を行った。また、学内外にプラスチック問題改善を啓発することを目的として、これらの過程は動画に編集し、オンライン文化祭で公開した。 ①鈴木光彰, 村中康秀, 伏見典晃, 神谷貴文, 小郷沙矢香, 岡智也, 長島由佳, 平松裕志「海岸域におけるマイクロプラスチックの調査手法の確立」(静岡県環境衛生科学研究所 環境科学部) |
研究結果 | 15mlのサンプル1つで平均1つのプラスチック片を観察することができた。鈴木ら①の調査地である静岡県では1ℓの砂から平均して13.2個のマイクロプラスチックが得られたとのことなので、少し多いかも知れないが、今後の継続研究で明らかにする必要がある。 お台場海浜公園の砂は、神津島の山間部から港に流れ込んだ土砂を浚渫(しゅんせつ)工事によって取り除いたものである。神津島に流れついたマイクロプラスチックよりも、お台場海浜公園において蓄積されたものの方が多いと考えられる。また、生物観察ではアサリやホンビノス貝に加え、泥ごとエサを捕食するボラが多く見られた。これらの生物はマイクロプラスチックの影響を多く受けると考えられ、継続研究の必要性がある。 |
展望 | 今後も継続してお台場海浜公園の調査を行うことで、マイクロプラスチックの環境に対する影響を明らかにし、都民の意識を啓発に大いに役立つ可能性が示唆された。また、中高生にも安易かつ安価にマイクロプラスチックの影響調べられる方法を考案する必要性も感じられた。また、今後はマイクロプラスチックの漂着ルート(海流と風,どちらの影響をより多く受けるのか)なども研究していきたい。 |