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校長だより

岩本新校長にバトンタッチ!!

満開の桜

最後の一か月はとても忙しく、校長室では忘れがたい濃密な日々を過ごしました。それらを思い出しながら最終号をお便りします。

正門さくら並木

1.テーブルマナー

高校卒業式を前に、高校3年生のテーブルマナー講習会が京王プラザで実施され招待していただきました。とはいっても、コロナ禍ですので、厳重な感染対策の下で、食事中は「黙食」でした。テーブルマナー2

マナー講習会を終え、マスクをつけて生徒による企画が行われ参加しました。企画の終わりに、卒業生で本校数学科講師でもあるマジシャンによる「マジックショー」がサプライズで披露され、大変楽しいひと時でした。

テーブルマナー

最後は、先生方によるメッセージで終わりましたが、何とここでもサプライズ。この学年の担任をして、現在は神戸の大学で教鞭をとられている林剛司先生からビデオメッセージがありました。それぞれの先生方から生徒たちへ贈る言葉の中に、6年間の思い出の風景が次々と浮かんできました。

2.コロナ

実は、試験休み中に生徒のコロナ感染疑いの情報が入りました。この間保健所や校医の先生と綿密に連絡を取り合って正確な情報を集め、年度末の様々な行事を日程変更するなどして、対応しました。結果として「濃厚接触者なし」の判断が保健所から出て、大事に至らず安堵し今日の日を迎えられました。いつどこで誰が感染するかわからない、そんな不安の中で過ごす日々でした。

というわけで、卒業式をどうしたらよいか考えた末に、特にこの間、高校3年生は学校との接点がなかったため、高校卒業式は予定通り実施することを判断しました。修了式、中学卒業式は、状況が把握できるまで延期しました。

3.卒業式

3月19日午後に高校卒業式を実施しました。この日は創立130周年の記念の桜が満開でした。ある朝正門で「卯田子桜ですね」と声をかけられたことから、高校3年生がこの桜が初めて咲いた春の中学入学生であることを思い出し、そのことを式辞の冒頭に述べました。「君たちの未来のために」と題して式辞を作り、卒業生への思いをメッセージにしました。

当日は壇上から見えるマスクをした卒業生の真剣な目に圧倒されました。大人になり成長したな、と「成城の誇り」を感じたひと時でした。式後に保護者の方々とわずかな時間でしたがお話しすることができ、また、語り切れない思いをお手紙で頂戴しました。卒業生の保護者の皆様にはこの場を借りて御礼申し上げます。式辞は校内で配布される「学校だより」に掲載される予定です。

4.最後の理事会

3月23日に最後の理事会がありました。1期4年の理事を2期も務めさせていただき、この日の議案で正式に理事を辞任することになりました。着任後に知った「成城」と前任校「小石川」については雑誌「成城」にも書きましたが、二つの学校の関わりの証拠ともいえる写真を、私から学校法人成城学校にお礼の気持ちを込めて寄贈させていただきました。

カナダ国際教育会議・写真1

これは、昭和2年8月10日にナイアガラの滝にて撮影された国際教育会議の記念写真で、2列目中央付近に成城学校第9代校長澤柳政太郎、その左最前列に東京府立第五中学校(現小石川中等教育学校)初代校長伊藤長七が写っています。この写真の裏には、以下のようなスタンプが押されていて、ビクトリア州トロントと読めます。カナダ国際教育会議・写真の裏のスタンプ

5.修了式

3月26日に中学1年と2年、続いて高校1年と2年の修了式を放送で行いました。学事報告、校長式辞のみの簡素な式でした。放送による式は生徒の顔が見えず好きではありませんが、しっかり聞いていたことが後からわかりました。修了式後に各教室で各種表彰状、通知表、宿題などが配布され、クラスメイトに別れを告げてクラスが解散され、新年度を迎えます。ホームルームを終えた何人かの在校生が、職員室や校長室に私を訪ねてくれました。また、すれ違いざまに「ありがとうございました。」あるいは、部活動中に足を止めて一斉に「お疲れさまでした。ありがとうございました。」と明るく声をかけてくれる生徒たちを見ていて、ほっとしました。君たちのこと、ずっと応援しているよ、頑張れ成城生!!

6.中学卒業式

3月26日、午前中に修了式、午後に中学卒業式という段取りで三つ目の式をしました。体育館で扉と窓を開放したまま、教員のみ(来賓、保護者なし)の参列で実施しました。ほとんどが成城高校への進学ですが、高校に繋ぐという意味合いをメッセージで伝えました。3年後の姿に期待しています。

7.最後の職員会議

中学卒業式終了後、最後の職員会議がありました。今年退職する英語科の大溝先生、村岡教頭先生と私の3人で、退職のご挨拶をさせていただきました。職員会議が終わると、恒例の職員室の引越ですが、引越の前に正門に来てください、と声がかかりました。

8.卯田子桜

正門には多くの教職員が集まっており、退職者3人に花束と似顔絵が贈呈されました。似顔絵

正門の桜に「卯田子桜」のプレートがつけられていました。

うたこ桜2プレートには「卯田子桜 女性初校長として成城に赴任されて 毎朝校門に立たれました その姿を残したく思います  桜の記憶として・・・」と、先生方からのメッセージが書かれていました。8年間毎朝門に立って生徒たちを見ていたことは、成城で教壇に立ったことのない校長の生徒指導の場だったのに・・・

9.「成城で学んでよかった」

3月31日まで、多くの生徒、教員、卒業生、保護者の皆さんと毎日のように様々な話をし、また、留学中の卒業生からは海外から近況報告のメールが寄せられました。

この8年間は、中学入学から高校卒業までを過ごした生徒たち、高校入学から社会人になるまでを見届けた生徒たちなど、たくさんの様々な出会いがありました。校長先生に会えてよかった、成城で学んでよかった、という声にこちらこそ感謝の気持ちでいっぱいになりました。まだまだ終わらない旅です。これからの新しい出会いや経験にワクワクしながら頑張ってくださいね。


ある生徒が「校長先生、種を一杯蒔いてくれましたね。」と言いました。そうですよ。芽を出し、伸ばしていくのは成城生みんなですよ。

この先の成城を先生方にお任せし、8年間一緒に関わりを持って取り組んできた岩本新校長に安心してバトンタッチします。よろしくお願いします。

通算して100号を超えて連載しました「校長室だより」は今回で終わります。この時の流れを、これから自分なりに整理して考えてみようと思っています。成城の益々の発展を祈念して、最後のお便りとします。ありがとうございました。

花束

 

【令和2年度中学1年生保護者の皆様へ】今年度は特に、入学式が録画配信、保護者会や、行事公開もなく、皆様にはこの一年間一度もお目にかからぬままお別れとなり残念で申し訳なく思います。ご子息が成城で様々な経験を積んで成長していくことを心より願っております。

令和3年3月31日 校長 栗原卯田子