知と仁と勇のバランス
青い空が高く、朝に吹く風が心地よく、急に秋らしくなったと感じるこの頃です。
写真は近所で見つけた曼殊沙華です。お彼岸の頃に咲くので別名ヒガンバナとも言われますが、毎年今頃咲きます。昨日10月1日は中秋(旧暦8月15日)でまん丸の名月を見ることができました。いつものようにめぐる季節を感じながら、いつもとは違った9月を過ごした成城を振り返ります。
1.災害に備える
前号でお伝えしましたが、9月1日から新学期が始まりました。放送での始業式での後、教頭による防災講話を実施しました。本校は新宿区の高台にあり大きな医療機関に囲まれていて極めて安全性が高く、立地に恵まれています。校内には緊急時に備えて、生徒・教職員全員分の食料・水・寝袋・簡易トイレなどが備蓄されています。このような中で、緊急時にどう対応したらよいか全校生徒へ説明がされました。
2.人間関係作り
本校ではいじめ防止対策推進法に基づいて、いじめ防止対策委員会を設置して年5回定例に開催しています。この委員会主催で9月の初旬、いじめ防止と対策について、本校スクールカウンセラーを講師に教員対象研修会を行いました。本校では全校生徒に毎年2回アンケートを実施して、いじめの実態把握をしています。
本校は、知仁勇を備えた人間の育成を目指しています。知は勿論ですが、知仁勇3つのバランスを大切にし、行事が充実していて部活動も盛んです。今年はコロナによる休校期間が長く、ほとんどの行事が中止となり、生徒にとっては人との触れ合いや、人間関係作りの機会が極端に少なくなってしまったと心配しています。
3.学校行事の代替
中学運動会は、体力づくりのほかにチームワークリーダーシップを学ぶ機会として毎年2学期に行われています。また、高校体育祭は、自治自律を目指して1学期末に行われています。これらいずれも今年は中止となりましたので、今、学年と体育科の先生方を中心に、生徒たちに様々な関係作りの機会を与えていこうと動いています。具体的には、中学運動会、高校体育祭の代替として、学年別スポーツ大会を実施することが先日決まりました。中学では学年別運動会のようになるかもしれません。高校は体育祭実行委員会を中心に生徒たちで企画運営し実施するようです。詳細はまだ決まっていませんが、感染防止に注意を払いつつ思いっきり楽しんで、学年のチームづくりをしてほしいと思います。次号で様子をお伝えできたらと思っています。
4.体育の授業
スポーツに関連して体育の授業について書いてみます。臨海学校に特徴のある本校では、体育の授業に水泳があります。例年5月末に行うプール開きは7月11日に行いました。温水プールのため水泳の授業は9月末まで続きます。先日、プールの授業を見学しました。泳ぎのテストをしていて、みんな真剣に取り組んでいました。
同じ時間に体育館でもグラウンドでも体育の授業をしていました。密にならず、生徒同士の接触の機会をつくらないように工夫されていて感心しました。体育館ではバスケットボールの扱い方を習っていました。生徒がペアになって広がりながら、声を出さずに相手をよく見て真似をするという工夫がされていました。ボールなどの消毒も大変なことです。
5.教育実習
例年6月に実施される教育実習ですが今年はコロナの関係で、実習期間を9月28日から10月17日までと変更しました。成城高校の卒業生ばかりで、スーツを着て教壇に立つ姿を見ては、実習生たちの高校時代を思い出しています。グランドで体育を指導する実習生に出会いました。生徒たちにとって、年齢の近い先輩たちの授業は新鮮で、縦のつながりから学ぶ機会にもなっています。
実習生の中には、朝の教員打合せまでの時間を活用して、私と一緒に正門で登校する生徒を迎える学生がいます。生徒たちに向き合いながら、自分は高校時代にどのようなことを考え、感じていたのか、実習を通して生徒たちに自らを語ってほしいと思います。
6.模擬試験の会場提供と個別相談
9月の初旬に、感染症予防対策を徹底することを条件に、中学入試の模擬試験会場として本校を貸与しました。各教室の収容人数を半分にし、試験を午前と午後の2回実施することになりました。保護者控室は設けませんでした。例年は、控室で校長による学校説明会をしていますが、今回は見合わせて様子を見ることにしました。代わりに個別相談を実施してみたところ、多くの方が利用され、学校に足を運んでおきたい、というニーズを感じとりました。このような状況を踏まえて、9月下旬から実施が始まる本校主催学校説明会は、小講堂で、収容人数を三分の一程度にして短時間で実施することにしました。
7.本校主催第1回学校説明会
9月26日に第1回学校説明会を小講堂で実施することを決めて以降、入試広報室はとても忙しく動いていました。ホームページで募集開始するとともに、サーマルカメラ、消毒液、扇風機などを設置して、検温や受付のシミュレーションをして、前日には会場の消毒をしました。受付のリハーサルもして流れを確認し、密が回避できるかを確認していました。 少人数、短時間で実施するための説明内容の精査をしました。また、説明会実施後には申し込みをした人に対して録画配信することにしました。
当日は、予定通りに進めることができ、アンケートからは感染防止対策にも納得された様子が伺えて一安心しました。引き続き感染防止対策を施しながら、予定されている学校説明会を開催していこうと思います。
8.大学進学の対応
9月は、指定校の校内選考があり、内定した生徒に対して保護者同伴で校長から話をしました。成城学校の名を背負い、大学での活躍が期待される精鋭たちです。エールを送りました。
一方、共通テストの出願のとりまとめもありました。高3はほぼ全員が受験し出願率は99%でした。いよいよ本格的な受験シーズンに入ります。二度とこない今日の日を頑張りましょう。
いつもなら成城祭が終わった9月末は、次のステップへの切り替えをする時期です。私事になりますが、私は30代の頃、八丈島の高校で数学科の専任教諭として6年間過ごしました。今年の9月は文化祭もなく何か物足りないな、と思っていた矢先に、島の教え子からストレチアの花が送られてきました。
独特の色合いを持ち、別名を極楽鳥花といいます。眺めていると、さぁ頑張るぞ!!と不思議に元気が出てくる花です。
最近、成城生や先生方の中から「まだ9月だ」という声が聞こえてきました。長い2学期に、秋のスポーツ大会で一息入れて、盛り上がりを作りたいですね。皆が思い切り楽しめて発散できる機会になると良いと思います。生徒たちの笑顔を期待しています。切り替えが上手で、知と仁と勇のバランスの取れた人間になるように。
令和2年10月2日
校長 栗原卯田子