臨海学校、お願いしまぁす!!
正門前で、登校してきた生徒から突然「臨海学校、お願いしまぁす!!」と元気よく声をかけられました。通常であれば臨海学校初日にあたる日の朝でした。臨海学校を楽しみに入学した中学1年生だと察し、瞬時に「来年ね。」と答えました。今年はコロナ禍によりどの学年も宿泊行事が中止となってしまいました。中学1年生も、補助員になることを期待していた高校2年生も臨海学校中止は残念でならないでしょう。私も、です。本校では、東日本大震災があった年に臨海学校を中止し、翌年に中学1年生と2年生の二学年で実施したと聞いています。「来年ね。」と答えたことが現実になりますよう、早期のコロナ終息を願うばかりです。
さて、学校が再開されたことで、これまでにできなかったことが一気に動き出しました。慌ただしかった7月を振り返ってみることにします。
1.第3支部大会
東京の私立中学校・高等学校は全体を支部に分けて活動しています。本校は新宿区、渋谷区、調布市の3つからなる第3支部に属します。今年度初の第3支部定例会が7月3日に関東国際高等学校でありました。
この会議では、新型コロナウイルス感染状況を踏まえての議論がされ今年度予定していた「第3支部生徒定期演奏会」と「第3支部総合体育大会」の中止が決定されました。
生徒たちにとっての活躍の場が失われたわけですが、安全性優先の判断でした。
2.部活動の再開
高体連等の所属団体より各種の大会や演奏会などの中止が伝えられており、今年度の学友会活動の夏合宿はすでに中止を決めていました。
通常授業の再開に伴い、部活動の再開をどうするか議論が始まりました。部会ごとに3つのステップを段階的に設定して、ほとんどの部会が中間考査の翌週7月6日より再開しました。再開にあたっては、各部会の活動計画、感染予防策、保護者の同意書を確認することにしました。
夏休み中の活動については以下を方針としました。①一日の活動時間は準備等を含めて3時間程度 ②途中に昼食を入れない ③公式戦以外の対外試合は原則禁止。ただし、公式戦に向けた練習試合については個別に判断することにしました。
最近、地方の公立中学校で部活動によって新型コロナのクラスターとなり、練習試合の相手校にも広がるというニュースが入ってきました。普段から感染防止に細心の注意を払い、新型コロナウィルスを「正しく恐れる」生活に努めていくしかありません。
3.プール開き
今年は、7月13日の週から水泳の授業を開始することにしました。プールの水抜き、消毒、水質検査、保健所への届けを済ませて、いよいよプールでの活動準備ができました。水泳の授業開始に備え、7月11日の土曜日の午後、プール開きを執り行いました。プールサイドに紅白幕、正面にお供え物をして、水泳部員と一緒に、プールでの活動の安全を祈願します。
校長の訓辞の後、水泳部部長の川上君と私で安全を祈って、プールの四隅にお神酒をお供えしました。儀式が終わると、みんなが見守る中で恒例の部長による泳ぎ初めです。川上君がプールサイドから飛び込み、続いて部員全員が泳ぎを披露しました。
例年5月考査の最終日に行われる行事ですが、コロナ禍の今年にあっても生徒、教職員みんなの協力の下、滞りなくプールを開くことができました。
4.硬式野球部「高校3年生集大成の夏」
「第102回全国高等学校野球選手権大会」の開催中止に伴い、「3年生最後の大会」と位置付けて、東京都高等学校野球連盟主催の「2020年夏季東西東京都高等学校野球大会」が7月18日より無観客で行われています。出場校の高校3年部員の保護者の方に限って観戦可能とのことで関係者以外行かれませんでした。
感染防止のための部活動自粛により練習が不足する状況で、本校高校野球部は7月31日に第3回戦で都立板橋高校と対戦し第4回戦進出を果たしました。本日8月2日開催の4回戦の相手校は強豪校、帝京高校です。結果は負けてしまいましたが、4回戦までよく頑張りました。詳しくはホームページで報告されると思いますが、厳しい練習を乗り越えた高校3年生の集大成と言える試合だったと思っています。
職員室でたまたま野球部の生徒の話をしていた直後、「本校野球部出身の卒業生が国立島根大学の学校案内パンフレットに、写真入りで載っていますよ!!」と元担任がパンフレット片手に声をかけてくれました。現在島根大学医学部の5年生で、アメリカでの研究実績もある学生です。東京に戻った折には母校を訪ねるそうです。ぜひ再会して文武両道の後輩へのメッセージを聞きたいと思います。チャンスがあると男子は化ける、 本当です。
5.補習・進学講習
毎年夏と冬に実施される高校生対象進学講習は無料(テキスト代のみ)で実施されています。今夏は例年より2週間ずれて7月31日から始まりました。高校3年生は8月29日まで実施されます。
ある都立高校で教員をしている友人から聞きました。その学校では期末考査の翌日に終業式をしてしまい、1学期の成績は2学期の始業式に渡すそうです。そうすることで終業式の翌日からすぐ補習と進学講習を始められるからだそうです。高校3年生に対して、休校による学習の遅れを取り戻すための苦肉の策ですね。今年の受験生は誰もが大変です。成城生だけではありません。節目で切り替え、集中力で頑張れ!!
7月初旬、一人の成城高校卒業生から電話が入りました。人数の関係で本校での教育実習が叶わなかったそうですが、私がよく知っている校長がご縁で教育実習を受け入れてくださったという報告でした。ただそれだけだったのですが、「繋がっていること」がなぜか嬉しくて、話し込んでしまいました。コロナに関して言えば、大学での生活も大変そうです。
夏休みでも、毎日多くの生徒が登校し部活動や補習、進学講習に参加しています。熱中症にも日々増加しているコロナ感染者数にも不安を抱きつつも、学校としては予防策を守りながら、熱中症やコロナ感染を「正しく恐れて」生活することを呼びかけています。挫折を乗り越えて頑張った成城のタフな先輩たちをロールモデルに、一人ひとりが自分の夏休みを充実して過ごしてほしいと期待しています。
成城の本質である縦のつながりの教育を大切に、「臨海学校お願いしまぁす!!」に込められた成城生の期待に応えられるよう、コロナ禍を乗り切っていこうと思います。
令和2年8月2日 校長 栗原卯田子