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校長だより

オーストラリア視察報告

8月14日(月)~8月25日(金)に「オーストラリア・グローバルリーダー研修」が実施されました。その様子は「成城スクールライフ」で紹介予定ですので、今回は、6月19日から22日までの4日間をかけて私が事前に訪問した様子を紹介したいと思います。

今年は、これまでと違ってクィーンズランド州ブリスベンとその郊外にあるトゥーンバ(Toowoomba)という地域の学校にお世話になることから、3校の校長先生を表敬訪問するのが第一目的でした。加えて、大学や研究機関での体験学習をより充実させるため、大学での研修内容の打合せに行きました。初年度(その1その2)はブリスベンにあるTRI(Translational Research Institute)という国際的医療研究機関で遺伝子に関わる実験の一部を体験させてもらいましたが、TRIがオーストラリア国内の学生を優先に受け入れるという方針を立てたため、TRIでの実験に代わる新しい体験学習を確認する必要があったのです。

日本とブリスベンとの時差は1時間。6月20日飛行機を降りてまず感じたのは「寒さ」です。日本では6月21日が夏至、当然ながら南半球のブリスベンでは冬至で、一年で一番太陽が出ている時間が短い日。まさにその時に旅行しているのだから寒くて当たり前かなとコートを着て飛行機を降り、空港を出ました。見上げる空は真青。地元の人が、この一週間は天気が荒れて今日は久々に晴れた。You are lucky!と教えてくれました。いよいよ視察と表敬訪問が始まりました。

6月20日最初の訪問先は、ブリスベンにある名門大学「クィーンズランド大学」(UQ)。

クィーンズランド大学

クィーンズランド大学

留学生の多いUQですが、日本人留学生は圧倒的に少ないとのこと。偶然会った日本人女子学生は日本の私立高校を卒業してからクィーンズランド大学に入学し、現在はブリスベンが気に入って大学院の博士課程で生物学を学んでいるということでした。是非、成城生に日本と異なる文化の中での生き様を語ってほしいといきなり依頼したところ快く引き受けてくれ実現しました。実際の研修でも成城生にとても良い話をしてくれたと聞いています。

ブリスベンを出てトゥーンバに向かう1時間半の道のりには農地が広がっていました。

ブリスベンからトゥーンバに向かう途中

ブリスベンからトゥーンバに向かう途中

トゥーンバに入ると景色がとても美しく、ピクニック・ポイントという公園からは街全体が見渡せました。

ピクニックポイント公園

ピクニックポイント公園

2つ目の訪問地は、「南クィーンズランド大学」(USQ)のトゥーンバキャンパス。キャンパスには何と「Ju Raku En寿楽園」という日本庭園があって驚きました。

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大学の研究施設の中では生物医学のEliza博士と会うことができました。

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エリザ博士はとてもユニークで面白い方

彼女が用意してくれたテキストに目を通すと、DNAの抽出や電気泳動などの作業内容や手順が分かりやすく書かれていました。

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エリザ博士の講義用テキスト

エリザ博士の講義用テキスト

また、44人が実際に行う実験室にも案内され、TRI並みの研修ができると確信しました。生徒は日本で事前学習をしてから臨みますが、楽しめると思います。

実験室

実験室

その晩はToowoombaに泊まりました。レストランを探して歩きましたが治安がよく、病院などの施設も充実しているのが分かりました。

翌21日は3校の表敬訪問。最初は「州立ハリスタウン高校」(Harristown State High School)。大学のような大きなキャンパスの中で1300名の生徒が学んでいました。

アーチに校名

アーチに校名

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スポーツが盛んな学校で、Kenneth Green校長とIan Blackstoneスボーツコーディネーたーが出迎えて、キャンパスを案内してくださいました。400mトラックがあるグラウンドが二つ、他にテニスコートやバスケットコート、屋内にはトレーニングセンター、インドアスポーツ施設がそれぞれ独立してありました。25mの室内温水プールがあるほか、サッカー、ホッケー、ラグビー、クリケットのコートがあり、とにかく広い!

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成城生の姿を思い浮かべながら、スポーツ、アート、クッキング、木工、金工などの授業を見学しました。特に印象に残ったのは、高校生数人で1つの小屋を作る授業。板を運び、木を削り組み立てをしていました。部品を3Dプリンタで作っている場面を見てIT教育が違う!と驚きました。

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2校目は「州立トゥーンバ高校」(Toowoomba State High School)です。

トゥーンバHS

トゥーンバHS

これは校庭のほんの一部

これは校庭のほんの一部

Tony Kennedy 校長が出迎えてくださり、この学校でも広い敷地のなかで生徒たちはスポーツをしていました。

とにかくスポーツが盛んです。

とにかくスポーツが盛んです。

特徴としてカリキュラムに日本語の授業があるとのことで、日本語の先生を紹介されました。この学校の日本語クラスと成城生との交流が実現するかもしれません。また、スポーツの授業で、サッカー等チームゲームを調整してほしいと依頼しました。図書館には「ワンピース」などの日本の漫画があり並んでいて驚きました。もちろん中身は英語。

中身は英語

中身は英語

最後は、「州立ウィルソントン高校」(Wilsonton State High School)です。

ほとんどの学校にはいつもアボリジニの旗

学校にはいつもアボリジニの旗が掲揚されている

お目にかかったMarcus Jones 校長はとても気さくな方で、一緒に歩きながら会話が弾みました。

図5校舎

ウィル校庭Marcus校長が、スクールモットーをライフスキルとして「Stand Strong・Stand Proud・Stand Together」と説明されたので、私は英語で「知・仁・勇」を説明しお互いに人間教育を標榜する理念に共感しました。

Life Skills

Life Skills

「生徒たちが自慢だ」と言っておられたのも印象的です。特にこの学校には農業の授業があるとのことで、14ヘクタールのファームにも案内されました。

授業用トラクター

授業用トラクター

図1 図2 図3 図4

生徒たちが野菜を育て動物に触れあう場面を見て、「Stand Together」の理念に基づく優しさのようなものを感じとりました。この学校にも日本語クラスがあるとのことで両校の生徒交流が楽しみです。また、トゥーンバは農業地帯に近く、成城生のホストファミリーの中にはファーマーがいるかもしれません。生徒たちにどんな出会いがあるのか。まずは日本から飛び出して異文化に触れ、体で感じ考えて自分の生き方を切り拓いてほしいと願っています。

実は最後にもう1校、成城学校より10年も前に創立された私立の男子校「グラマー高校」を訪問してきました。

グラマー

多くの優れた人材を輩出してきた伝統校ですが、突然の訪問にもかかわらずとても気持ちよく受け入れてくださり、今後に新たな交流が期待できるかもしれません。

グラマー


今年はオーストラリア研修に同行しませんでしたが、1家庭に1人ずつのホームステイでみんな元気に帰ってきました。学校が比較的近いところにあり、引率の先生からは3つの学校を走って周れたとか、ユニークで楽しい話や苦労話など、様々報告を受けたところです。無事終わって何よりでした。

いよいよ明日から2学期が始まります。生徒たちが様々な体験を通してすごく成長した気がします。一人ひとりが人間力を高め、リーダーシップを発揮して逞しく活躍する2学期になるよう期待しています。

平成29年8月31日 校長 栗原卯田子