お知らせ
東京私立高等学校弁論大会
11月19日、北区赤羽会館で東京私立高等学校弁論大会が開催され、小杉和司君(高2C)、豊島昇悟君(高2F)の2名が出場しました。今年で45回目を迎える歴史ある大会に成城高校から出場するのは初めてです。原稿審査を通過し本戦出場を果たした10校19名が、弁論の腕を競いました。
抽選の結果2番目に登壇した豊島君は、「オタクは犯罪者予備軍なのか?」と題して弁論を行いました。持ち味の噺家をほうふつとさせる飄々とした語り口、オタクを論じるという斬新な視点、随所にはめ込まれた笑いの仕掛けが炸裂し、弁論の常識を超えるユニークなスピーチになりました。休憩をはさみ15番目に登壇した小杉君は、「たかが6年されど6年。侮るなかれ学校選び」という題で、男女別学の意義について論じました。さわやかなたたずまいと歯切れのよい弁舌、手の動きを活用した立体的な構成とともに、思春期の微妙な心理を、自らの体験を交えて堂々と論じ切りました。
成城が初めて臨んだ都大会は予想を上回る高水準でした。藤村女子、日大一、玉川聖学院、順天など過去の優勝校が軒並み出場し、迫力のある弁論を展開しました。内容や構成はもちろん、技術面、全ての根底となる問題意識やそれを支える熱意など、あらゆることが勉強になりました。
会場には、小杉君、豊島君のご家族も見に来ておられました。また、2人のよきライバルであり、終始切磋琢磨してきた濵野揚茂君(高2C)も応援に駆けつけ、熱心に観戦していました。栗原校長も、校務ののち後半から会場に到着しました。
優勝に当たる最優秀賞に輝いたのは富士見高校2年の上田さんでした。「自分たちは戦争体験者の生の声を聞くことのできる最後の世代である」という視座からの弁論は、圧倒的なインパクトを与え、深い共感を呼ぶものでした。自身も戦災で家族を失ったという、審査委員長で児童文学者の漆原智良先生も絶賛されていました。小杉君、豊島君は残念ながら入賞には至りませんでしたが、多くの収穫とともに、成城高校の挑戦は終わりました。
今年度高校2年生は、国語表現(担当及川)の授業で、全員が弁論を行いました。1学期の終わりにクラス代表2名を選び、8クラス計16名によるファイナルを文化祭で開催しました。1位小杉君、2位濵野君、3位豊島君という結果でした。また、締切日の関係で、それとは別に都大会の応募者選考会を実施し、弁士の互選により代表2名を選出、小杉君と豊島君が選ばれ、書類審査にエントリーしました。
代表として出場した2名を含め、弁論への取り組みを通じて、社会に対して目を向け、自分自身を省み、社会との関わりに思いを巡らす機会を作ることができたのではないかと思います。それを端的に示してくれたのが、小杉君であり豊島君、さらには、2人の伴走者に徹してくれた濵野君ではなかったでしょうか。それは、彼らを自分たちの代表として選出し、送り出してくれた高校2年生全員が、同じように成長のきっかけをつかんだことでもあるでしょう。いよいよ3学期、そして最終学年を迎えますが、この経験を自分たちの、そして後輩へと継承される無形の財産として大切にして欲しいと思います。