あけましておめでとうございます。今年も頑張りましょう。
いよいよ平成29年(2017年)が始まりました。数時間前に、アメリカのコロラド大学名誉教授・アンソニー・トゥー先生から、安倍首相とアンソニー先生と私の顔写真のアニメが皆で音楽に合わせて「ハッピーホリデー」を踊っているという大変ユニークでユーモラスな e-card (動画)が届きました。いつも成城学校を応援してくださるアンソニー先生がかようにお茶目な方とは知らず、ビックリしていたところで新年を迎えました。先生は今年も2本の論文を発表される予定とのこと、お忙しい中のプレゼントでした。
あけましておめでとうございます。チーム成城にとって素晴らしい年になりますよう、皆で頑張っていきましょう。
成城生の「成長」を願った取り組みと、「安全・安心」の環境づくりが、成果をあげつつあります。少しずつですがこれらを取り上げながら、成城の校長室からみた昨年12月を振り返ってみます。今回は私のカメラが故障してしまい写真があまりないのですが「校長室だより12月号」をお届けしますのでご覧ください。
1.学校訪問会
本校近隣にある塾の塾長さんが、男子小学生の保護者を数十名連れて本校を訪問されました。
入試広報室の先生方がちょうど授業中の曜日だったため、大会議室に集まっていただき、私から1時間ほど使って学校概要を説明させていただきました。その後、教頭と私と3人で授業の様子や施設をご案内しました。通常の学校説明会とは一味違う話に、皆さん熱心に耳を傾けられ、見学中も多くの質問をいただきました。見学が終わろうとする頃、ちょうど昼休みのチャイム。一目散にカフェテリア(食堂)に向かう生徒や、芝生グラウンドでスポーツを始める生徒たちをみて、真面目な校風とノビノビとした雰囲気を感じ取って下さった様子でした。受験生には、成城の方針と校風、教育環境をご理解いただくことが何より大事です。身近で活発な保護者の皆さんとの交流がとても印象的でした。
2.カフェ
近隣にある別の塾で、男女関係なく小学生のお子さんをお持ちのお母さん方を相手にお茶をしながら気軽にお話をしてください、と頼まれて塾へ出向きました。時間がたっぷりありましたので、校長としての学校づくりの経験を主に、数学教師時代の経験、子育てした母親としての経験を交えながら、思いのたけをお話しました。その後のQ&Aでのやり取りが興味深かった様子で、アンケートにはたくさんの感想が寄せられました。さらに、脇で一緒に聞いていたという社員の方のレポートと感想文まで届きました。子供たちの未来と学びについて、小学生の保護者の皆様と一緒に考える機会をいただいて、私もたいへん勉強になりました。
3.成城学校避難所運営管理協議会
例年のように本校で開催しています避難所運営管理協議会ですが、今年は、防災に関する研究を長年されている順天堂大学医学部坪内暁子先生を毎回お招きし、様々な課題を検討してきました。12月13日には第6回の会が開催され、災害による被害を最小限に抑えるために、実態の把握を目的とする調査内容が決まりました。いよいよ来月、成城学校の生徒・教職員と地域住民を対象に「首都圏地震に関する調査」が実施されます。
近年国内で大地震が多数発生していますし、首都圏直下地震の発生の可能性がある中で、地域と連携した防災教育の必要を強く感じています。この調査結果は3月のシンポジウムで共有して、本校と近隣の災害防止に役立てていく計画です。
4.校内研修
本校では一昨年より「将来構想プロジェクト」、昨年より「カリキュラム検討委員会」を立ちあげ、大学、高校、大学入試の3つの側面から進行されている「高大接続システム改革」を踏まえて、教育課程の研究をしてきました。このほど12月9日にカリキュラム検討委員会主催で、駿台教育研究所の進学情報センター長の石原賢一先生を講師にお招きした校内研修会が実現しました。本校教員63名が参加し、研修結果を各教科に持ち帰りました。中央教育審議会のメンバーをはじめ様々な関係者と面識のある石原先生からは、実際的なお話が聞けました。これらを活かして次年度から、少しずつですが新しい取り組みが始められることになりました。
5.グローバル報告会
今年の夏に実施された、エンパワーメント・プログラム、オーストラリア研修、台湾研修の成果発表会が12月10日に開催されました。
既にホームページ「成城生SCHOOL LIFE」で紹介されていますが、311名の参加者を得て盛会でした。
特に今年は、準備、運営、司会をすべて生徒に任せました。私は始めの挨拶をしただけで、すっかり聴衆の一人になりきって、ユーモアあふれるプレゼンを楽しみながら聞いていました。生徒達はまだまだ不慣れで、課題も残りますが、成城変わってきたなと改めて感じました。
6.マリー・インターナショナルスクール(数学・理科の出前授業)
12月12~14日の3日間、先月号で紹介した「マリー・インターナショナルスクール」の出前授業の「本番」が実施されました。
多数の申し込み者が予測されたため、今回は中学1年と2年の希望者を対象にしました。128名の参加者全員が数学(面積 area)と理科の実験(気圧 air pressure)の授業を英語で体験しました。
特に今回は、授業の最後に全員がプレゼンを実施することとし、各自が、①Study ②Feelings ③Found outの3つを盛り込んで発表し、Any question? で締めくくるとい内容になりました。生徒達は参観していた先生方からの英語の質問に緊張しながら答えていました。生徒の作文を読むと好評だったことがよくわかります。
作文の中に「親に勧められて仕方なく参加し、プレゼンをすると聞いて最悪だ!と思ったけれど、終わってみたらやっぱりいい経験だったと思う。」というのがありました。学年主任からは「親に言われて参加するのは無し。」と伝えられたそうなのですが…、実はそうだったのですね・・・。体験することが先か、自主性の尊重が先か、中学1、2年のうちは難しいところです。とにもかくにも素晴らしい出前授業でした。マリースクールの先生方、ありがとうございました。
7.幼稚園クリスマス会
牛込成城幼稚園のクリスマス会に招かれました。JETのブライアン先生と一緒に参加しました。猿蟹合戦やかぐや姫の劇、ブライアン先生に英語で習った「きよしこの夜」の歌など、どれもかわいらしくて、思わず微笑んでしまいました。
8.雨活アイデアコンテスト2016
特定非営利活動法人「雨水市民の会」が主催している「雨活アイデアコンテスト」に今年も参加しました。今年は標語部門<中学生の部>で中学1年伊藤涼介君が佳作に入賞しました。作品は「雨の旅 集めた水で 七変化」おめでとうございます‼
9.中学時代の担任
九十歳になる私の中学時代の恩師が、本校の近くにある区立小学校で講師として招かれたそうです。「近くに行くけど、いるかい?」と電話が入り、校長室を訪ねてくださいました。突然の訪問で一気に数十年前にタイムスリップ。「やぁウタちゃん、久しぶりだね。元気で何よりだ。」校舎内の展示を眺めて「すごい伝統校だなぁ。頑張れよ。」先生と話している私は、まるで担任の先生に励まされている生徒のようでした。とても九十歳とは思えない笑顔の師は、母校中野区立第八中学校で数学を教えて下さった先生で、後に八丈島の校長先生になられました。不思議なご縁です。
「本当は誰も、明日をよく生きたいと思っているんだよ。」教育の道を選んだ私にどれほどの影響を与えて下さったことか。理想の教育を教えて下さった先生が再び、”初心忘るべからず”と伝えにきて下さったようでした。
10.フィランソロピー
「フィランソロピー」とは聞きなれない言葉ですが、簡単に言うと奉仕的活動のことで、実践している人を「フィランソロピスト」というのだそうです。実は、第19回『まちかどのフィランソロピスト賞』最終選考会で、成城中学校・高等学校が青少年部門で「奨励賞」を受賞した、というお知らせがきてこの言葉を知りました。
受賞者として本校が以下のように紹介されています。
“成城中学高等学校は、生徒会を中心に生徒と社会のかかわりを作る様々な活動を行っており、60年前に在籍した生徒が、被曝が原因の白血病で亡くなったことをきっかけに始まった「核兵器廃絶のための署名運動」は、生徒たちが用紙を持ち帰り、署名の趣旨を説明して一筆一筆集めている。また、「あしなが学生募金」に参加して、街頭に立ち遺児奨学金への呼びかけ、募金総額は七百万円を超える。”
学士会館で行われた贈呈式では、生徒会を代表して高2渋谷治輝君と高1武井翔君の二人がプレゼンをしました。二人のプレゼンのことが書かれた手紙が協会から私宛に届きました。私は、二学期の終業式で、これを読み上げました。
「お二人の堂々とした姿や活動発表から、貴校が伝統を引き継ぎながらも、現代の課題に向き合い、生徒の皆さんが自分たちの時間と力と知恵を生かそうと邁進しておられることが伝わってまいりました。…」
成城は、地味な目立たない生徒たちが磨かれてキラキラと輝いていく学校。まだまだ原石がたくさん転がっています。
輝け!! 成城健児!!
平成29年1月1日
学校法人成城学校
成城中学高等学校
校長 栗原卯田子