成城学校の平成27年度修了
卒業式、修了式が終わり、春休みに入った ある日の朝。校長室の真下にある芝生グラウンドからランニングの大きな掛け声が響きわたります。下を見ると高校野球部の練習開始。時間は9時丁度。厳格に時間を守り、厳しい練習を重ねて、勉強にも運動にも頑張る生徒たちのこうした光景を見ていると、感動します。大変誇りに思います。去年この景色の中にいた一人が、浪人して今年国立大学の医学部医学科に合格しました。これが成城パワーですね。
今年度は6月に創立130周年記念と新校舎落成祝賀の二つの記念事業があり、東京私立中高協会第3支部の支部長校としての役目が重なり、忙しくも新しい校舎に多くの方々が出入りされ、とても活気に溢れた1年でした。お二人の先生が亡くなるなど、一方で悲しいことも多々あり、激動の1年でしたが、生徒たちの成長ぶりは素晴らしいものがありました。では、今年度の最終号です。
1.修学旅行中の出来事
高2と中3が沖縄に修学旅行に行きました。私は、その期間に新入生説明会が予定されていて、今年はいずれの旅行にも引率できませんでした。毎日FAXで報告が送られてくるのが楽しみでした。
平和学習での真剣なまなざし、「食事をする風景」(すごい速さですよ、きっと。)…などが目に浮かんできました。そんな中で、ご退職される先生へのサプライズがあったとか。
上の写真を提供してもらいました。後日いただいた退職のごあいさつの中に、この日の出来事が入っていました。ご本人は始まるまで全く気が付かなかったそうです。さぞかし驚いたことでしょうね。成城生の茶目っ気にウルッときてしまったとお話しされました。
2.隈研吾氏の著書との出会い
隈研吾氏は、新国立競技場の設計に関わっておられること等で有名な方です。しばらく前のことですが、隈研吾氏のご友人が本校にお越しくださいました折、隈さんのデザインが大好きという本校の生徒を紹介させていただきました。その後に隈氏とご友人が会った時に、たまたまそのことが話題になったということで、隈研吾氏の著書「場所言論」がサイン入りで、突然校長室に届きました。早速その生徒に渡すと、嬉しそうにサインを見ながら、「あり得ないことです。」と呆然。その生徒は現在、日米交流の日本代表高校生としてアメリカに行っています。建築やデザイン、何でもいいから自分らしい何かを求めていく若者たちを隈研吾さんも応援し期待してくださることと思います。
3.台湾とのスカイプ交流ふたたび実現
前回スカイプ交流に参加した生徒達の強い希望から、台湾の学校との交流が再び実現しました。
4.東大に合格するということ
東大に現役で合格した高3の生徒が合格を報告に来ました。彼は高1までサッカー部で、これにより強靭な精神力を身につけることができたそうです。高2では生徒会活動、特に文化祭実行委員としての活躍を私はとてもよく覚えています。「人を動かす」という視点でリーダーシップを学んだことが当時の作文にもあります。その後東大を目標に勉強モードに切り替えて、「効率」を優先に考えて勉強し現役合格を果たしました。高校3年間でものすごく成長した生徒だと思います。3年間皆勤。切り替え、効率、まじめ、努力・・・彼の言葉の中には、受験特有のテクニックなどは何もありませんでした。
5.中3卒業研究
中学3年生が卒業研究として製作した論文や作品を、3月11日から19日まで、講義室と物理室で保護者の方に公開展示されました。
ご覧下さった方の感想文が、二つの箱一杯に入っていて、多くの方にご来場いただいたことが分かりました。ありがとうございました。
調査研究あり、実験による検証あり、自作小説や、衣装等の創作あり、英語で書かれた大作の翻訳もあり、・・・。いくつか読んでみましたが、彼らの興味の幅広さと「隠れた力」を感じ、逞しく思いました。
自分でテーマを考え、自分で調べて挑戦した成果を一つの形に仕上げるというチャレンジ。自分で創り出すことの苦労と面白さを生徒達は体験したと思います。こうやって自分から何かを生み出すことがきっかけとなって、モチベーションが向上して、校訓「自学自習」の校風が上がっていくことを心から期待しています。
明日から新年度。新入生を迎えて、また新しい成城が始まります。
平成28年3月31日
学校法人成城学校
成城中学高等学校
校長 栗原卯田子